読売新聞  より(以下一部抜粋)

韓国の連続ドラマが4月から、初めて民放地上波のゴールデンタイム(G帯)に登場する。

 社会現象を巻き起こした「冬のソナタ」以後、韓流ブームは沈静化しているように見えるが、韓国ドラマはすっかり日本のテレビに根を下ろしたようだ。

 放送される「アイリス」は、イ・ビョンホンさん(39)主演のスパイアクション。TBSが水曜午後9時から約半年間放送する。同局によると、5年越しの 構想で製作委員会に出資しており、もともとG帯での放送を想定していた。とくに韓流であることを強調せず、韓国ドラマの主な視聴者である中高年女性以外も ターゲットにしている。

 最近の韓国ロケ地ツアーの低調ぶりなどから「韓流ブームは終わった」との見方もあるが、日本のテレビでは韓国ドラマが依然として活況を呈している。2月 第3週(14~20日)には、地上波7チャンネルで5作品、BSデジタル11チャンネル(映画専門のスターチャンネルを除く)では36作品が放送された。 ローカル局でもひっぱりだこだ。

 NHK衛星第2で放送中の韓国歴史ドラマ「イ・サン」は、29話(21日)までの平均視聴率が2・7%(ビデオリサーチのデータを基にNHKが集計)。 初回の放送としては「チャングムの誓い」(全回平均2・32%)などを抑え、NHK衛星が放送した韓国ドラマの中で最も高く、6月からの再放送も決まっ た。昨年8月23日に衆院選特集で放送が休止になると、視聴者からの問い合わせが約600件も殺到し、局内では「冬ソナを超える盛り上がり」との声も強 い。

 フジテレビでも1月から、月~金曜午後に「韓流α」という枠を新設し、「私の名前はキム・サムスン」などの人気作品を放送。視聴率も5%前後と、同時間帯としては好調だ。

 こうした背景には「番組を制作するより購入する方が安く、日本の旧作ドラマに比べて著作権処理が容易」(BSデジタル局幹部)という放送局側の台所事情がある。また、韓国の制作側が、DVDや写真集など関連商品の市場が大きい日本を強く意識して制作している面も大きい。

 これに加え、NHKソフト開発センターの荒谷紀子チーフ・プロデューサーは「話数が多いから様々なテーマを重層的に盛り込める」と、韓国ドラマならでは の強みを指摘。「韓流ぴあ」の田中英樹編集長も「韓流作品はアジア市場を意識して、普遍的で分かりやすく、かつ練り込まれた作品が多い。テーマも多様化し てきた」とした上で、「以前は米国ドラマが日本のG帯で放送されていた。今後は韓国作品がさらに増えていくかもしれない」と分析している。