第82回アカデミー賞で最多9部門にノミネートされ、前哨戦の英アカデミー(BAFTA)賞も制して作品賞と監督賞の大本命と目されている「ハート・ロッカー 」が、思わぬところでつまずいた。
米ロサンゼルス・タイムズ紙によると、同作のプロデューサーの1人、ニコラス・シャルティエが業界関係者に一斉に送ったEメールがアカデミーの規定に違反した疑いがあるという。シャルティエはメールのなかで、「もし『ハート・ロッカー 』を気に入ってくれたなら、ぜひ投票権のある知人友人に『ハート・ロッカー 』 に投票してくれるよう言ってほしい。(メールを受け取った)全員が1人か2人に宣伝してくれれば、あの5億ドルの映画じゃなくて我々が勝てるはずだ」と訴 えかけているが、それが不適切な宣伝活動として問題視されたらしい。言うまでもなく、5億ドルの映画とは、同じく最多9部門にノミネートされている「アバター 」のことだ。
お そらくはアカデミーないしは別の関係者にそれを指摘されたのだろう、シャルティエは今週に入って謝罪メールを再び一斉送信。「一個人としてもプロとして も、特定の映画に投票するよう依頼する一方で、別の映画にも言及するというのは間違った行為だった。(中略)今回初めてアカデミー賞にノミネートされる栄 誉を授かったにもかかわらず、規則をちゃんと読んでいなかった。自分の無知と認識の甘さ、そして愚かさも今回の行動の言い訳にはならず、激しく後悔してい る」として、最初のメールを撤回して謝罪した。
現在のところ、アカデミーから正式な処置の発表はされていないが、3月7日の授賞式の招待枠が減らされるなどのペナルティが科せられるのではないかと同紙は指摘する。同時に、3月2日に締切られるアカデミー会員の投票行動に何らかの影響を及ぼすことも予想される。