毎日新聞デジタ ルより(以下一部抜粋)


 松山ケンイチさん主演の映画「カムイ外伝」(崔洋一監督)のDVDが2月に発売された。松山さんはこの作品で初めて本格忍者アクションに挑戦。ワ イヤも使って独特の動きや刀の使い方、さらに崔監督や小雪さんら共演者との現場でのやりとりなど撮影時の苦労を松山さんが振り返った。


 --「カムイ外伝」への出演を決めた、一番の理由は?


 新しいことがたくさん詰まっていたからです。ここまでのアクションは初めてでしたし、忍者によるアクションという点でも、侍のアクションと違ってあまり見たことがなかったので、ぜひ挑戦してみたいなと思いました。


 --カムイというキャラクターをどのようにつかんでいきましたか?


 とっかかりになったのはアクションのトレーニングです。まず、忍者はどういう動き方をするのか、たたずまいとか、走り方とか、刀の使い方とか、そ ういうことを覚えることから始めました。ただ、差別社会の中で生まれたカムイとは、価値観も感じ方も生き方も全然違うから、想像のつかないところもありま したね。


 --実際に、さまざまなアクションをこなして感じたことはどんなことでしたか。


 最初は全力でやれば全力でやっているように見えると思ったんです。リアルにやればいいだろうって。でも、ワイヤを使う時点でリアルは無理だし、芝 居で見せることが重要だと次第に感じていったんです。やっぱりアクションも芝居なんですね。だから、最終的にはただ立っているだけでもカムイに見えるよう に、気を付けながらやっていきました。


 --沖縄の暑さの中で、体調維持が大変だったと聞きましたが。


 脱水症状にならないようにすごく気を付けました。すぐ水分が出てしまうので、常にペットボトルを近くに置いておいて、体調管理には気を付けましたね。僕が倒れてしまったら撮影になりませんから。


 --撮影を通じて、崔監督にはどんな印象を持ちましたか。


 とても愛のある監督だと思いました。厳しい撮影の中でも僕をちゃんと見てくれていて、迷ったときには隣まで来て、カムイがどういう気持ちでそこまで来たのかを説明してくれる。そうやって気持ちを引っ張り上げてくれる言葉にすごく助けられました。


 --共演の方々はどうでしたか。


 小雪さんも伊藤(英明)さんも佐藤浩市さんも(小林)薫さんも、みんな主演を張ってきた方々なので、客観的に見る目を持っていて僕を助けてくれた んですね。みなさん余裕があって、どんどんのめり込んでいってしまう僕を止めてくれた。僕も見習っていかなければいけないなと思いました。


 --「カムイ外伝」にはさまざまなメッセージが含まれていると思いますが、松山さんはどのようなことを感じましたか。


 カムイは追っ手を殺してでも生き抜こうとしますが、カムイだけでなく誰もが、必ずどこかで障害と出合うはずです。それにどう向き合うかということ ですよね。カムイにとっては差別の問題もありますが、それはいまの社会にも残っていることだし、その社会のなかで何を考えて、どうやって生きていくのかと いうメッセージがあるのかもしれませんね。