シネマカフェネット より(以下一部抜粋)


オスカー授賞式直前! 9部門ノミネートの『アバター』 VS『ハート・ロッカー』を軸に、様々な見どころが挙げられているが、作品賞と並んでやはり注目を浴びるのが各俳優部門。ここで紹介するのは、熾烈なる “男たちの戦い”。実力派が顔を揃えた主演男優賞のゆくえはいかに?


今年の候補者5人は『マイレージ、マイライフ』 のジョージ・クルーニーに『インビクタス/負けざる者たち』 のモーガン・フリーマン、先に挙げた『ハート・ロッカー』 のジェレミー・レナーに『シングルマン』 のコリン・ファース、そして『Crazy Heart』 (原 題)のジェフ・ブリッジスという顔ぶれになっている。ジョージとモーガンの2人はすでに『シリアナ』、『ミリオンダラー・ベイビー』でそれぞれ助演男優賞 を受賞しており人気、実力の高さは言うまでもない。もちろん日本でもファンは多く、もしも日本で「誰に受賞してほしいか?」というアンケートを取ればこの 2人に票が集中するのでは? 主演男優賞へのノミネートは、ジョージは『フィクサー』 以 来2度目。モーガンは『ドライビング Miss デイジー』('89)、『ショーシャンクの空に』('94)に続く3度目とあって共に“悲願”の初戴冠なるか? 特に、実在の人物であるネルソン・マンデ ラを演じたモーガンの演技については「本物のマンデラに見えた」と絶賛の声が挙がっており、残念ながら作品賞や監督賞の候補からは漏れた本作だが、モーガ ンと助演男優賞候補になっているマット・デイモンに男優部門W受賞の期待がかかる。


さて、ジョージとモーガンに“知名度”という点では劣ってはいるものの、ここまでの賞レースの流れから見て「大本命」と言われているのがジェフ・ブリッジス。『Crazy Heart』 自 体、日本での公開がまだ決まっていないこともあって「ジェフ、Who?」という人も多いかも…。リドリー・スコット監督作『白い嵐』('96)の船長役、 コーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』('98)でタイトルロールの主人公を演じた男、と言えば分かる人も多いのでは? 最近では『アイアンマン』 に も出演しており、昨年、還暦を迎えた実力派のベテラン俳優である。アカデミー賞には『ラスト・ショー』('71)、『サンダーボルト』('74)、『ザ・ コンテンダー』('00)で3度助演男優賞に、そして『スターマン/愛・宇宙はるかに』('84)で主演男優賞にノミネートされているが、いずれも受賞に は至らず。“最も過小評価されている俳優”と称されてきたが、今年はゴールデン・グローブ賞、映画俳優組合賞を始め、前哨戦の多くの主演男優賞を獲得して おり、順当に考えれば、オスカー受賞の可能性は最も高いと言えそう。“無冠の帝王”返上なるか?


そ のジェフ、そしてジョージらを抑えてつい先日発表された英国アカデミー賞(BAFTA)で主演男優賞を獲得したのがコリン・ファース。カリスマ・デザイ ナーのトム・フォードの初監督作品で、コリンは長年連れ添ったパートナーを失った悲しみに打ちひしがれつつ、生きる価値を見出そうと苦悩する大学教授を演 じている。コリンは本作で、昨年のヴェネチア国際映画祭でも主演男優賞を獲得している。前哨戦の中でもBAFTAはゴールデン・グローブ賞と共に、オス カーと受賞者が重なることも多く、受賞の可能性は十分!

そして残る1人、ジェレミーは今年の候補者5人の中で最年少の39歳。『ハート・ロッカー』 に 対する評価の高さは9部門という結果が示すとおり。プロデューサーのメール事件に、自らが本作のモデルだと主張する男性による訴訟など、授賞式前に少しミ ソがついてしまったが、作品に対する高い評価は当然のことながら揺らぐことはない。彼が演じたジェームズ二等軍曹の、命を賭して爆弾処理に従事する姿と、 その強烈なキャラクターにも絶賛の声が寄せられており、また、イラク戦争という題材と合わせて雪崩現象的に本作に票が集まっている可能性も。

ふ り返れば昨年の授賞式では、“復活”を遂げたミッキー・ロークの受賞が最有力とされる中で、ブラッド・ピット、リチャード・ジェンキンス、フランク・ラン ジェラら実力派を抑え、ショーン・ペンが2度目の主演男優賞受賞を果たした。受賞スピーチでは、受賞を逃したミッキーを讃えるコメントで会場を沸かした が、今年はどんなドラマが待っているのか? 男たちの戦いの結末はもうすぐ! アカデミー賞授賞式は3月7日(現地時間/日本時間3月8日)開催。

第82回アカデミー賞主演男優賞候補
ジョージ・クルーニー 『マイレージ、マイライフ』
ジェフ・ブリッジス 『Crazy Heart』 (原題)
モーガン・フリーマン 『インビクタス/負けざる者たち』
ジェレミー・レナー 『ハート・ロッカー』
コリン・ファース 『シングルマン』