MovieWalker
より(以下一部抜粋)
> 日本時間の3月8日、華やかに行われた第82回アカデミー賞。不況にあえぐハリウッドだが、ゴージャスに着飾ったスターが続々と登場した。そこで、 作品賞ほか6部門で受賞するという栄光を勝ち取ったのは、平均予算が約1億ドルともいわれるハリウッドにおいて、たった1100万ドルという低予算で撮影 されたインディペンデント映画『ハート・ロッカー』(08)だった。
近年ではそれ以外にも、同賞で作品賞ほか4部門などにノミネートされた『第9地区』(09)で3000万ドル、世界中で大ヒットした『パラノーマ ル・アクティビティ』(07)で1万5000ドルなど、低予算映画が軒並みヒットを記録。まさしく“低予算映画ブーム”の到来だ。
そんなブームが韓国にも飛び火したのか、韓国発の良質な低予算映画が生み出された。それが韓国映画『息もできない』(東京は公開中、大阪では4月 10日より公開)。映画『私たちの幸せな時間』(06)などに出演する俳優ヤン・イクチュンが製作・監督・脚本・編集・主演をこなした意欲作で、父への怒 りと憎しみを抱いて生きるヤクザの男の生き様を描いたヒューマンドラマだ。
しかし、製作費という大きな問題がイクチュンを襲う。自ら資金を集めてようやく製作をスタートしたものの、やがて資金は底をついてしまったのだ。 困った彼は自分の家を売り払って製作費を捻出。本作はまさしく、イクチュン渾身の1作だ。
こうして、執念ともいえる思いで作り上げられた『息もできない』。波乱の製作現場とは裏腹に、韓国の映画賞・青龍映画賞など国内外25以上の賞を受 賞した良作に仕上がっている。1人の男が人生を賭けて挑んだ1本、映画ファンなら見ない手はないだろう。