「第9地区」公式サイト

いやもう、文句なしにおもしろい映画でした!
アカデミー賞の作品賞にノミネートされたのもむべなるかな。ひっさびさに本格的なSF映画を見たという満足感でいっぱいでございます。

あ、「アバター」もそりゃ勿論れっきとしたSFなんですが、ちょっとばかりファンタジー色が強いんですね。「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」になると、あれはSFじゃなくて完全に落語ですから。

でもこの「第9地区」は私が「SF映画」と聞いた時に頭に浮かぶイメージに完全に合致していました。映像的にはちょっとばかりグロい要素が含まれていて、それも好みにぴったりというか♪ ジョン・カーペンター 監督作品にゲーム感覚を足してホラー要素を引いたような感じかな? 

とにかく、現代の映画らしく、展開が早い早い!

実は冒頭部分はオープニングなんだろうと思ってぼやっと見てたんですが、とんでもない! 息つく間もなく話は進み、え?え?え?と思っている内に事態が緊急性を帯びてきて、はい~~~?!と目を見開いてる間に物語は佳境に入り、もはや言葉もない程派手なクライマックスを迎えたかと思うと一気に感動のラストへとなだれ込むのでした。

この展開の早さは主人公の性格設定に負うところが大きいですね。

何しろこの主人公、決断が早い!
そして決断したら迷わず実行する!!

日本映画だったら決断するまでに30分、さらに実行に移すまでに1時間かけて主人公の悩みや葛藤をうじうじ描写するものですが、そういう場面一切ナシ!

主人公のヴィカス、どんな境遇に陥っても、とにかくその時しなけりゃいけない事があるなら、それをする事を迷わない! 悩み苦しむ事はあるかもしれないけれど、躊躇というものの無い男、それがヴィカス・ファン・デ・メルヴェ。この映画のおもしろさはひとえにこのヴィカスが担ってます。

このヴィカスの実行力、これが見ていて気持ちいいのですよ。彼の行動については「おいっ!」とか「は?」と思う部分も多々あるのですが、それでもやらなきゃいけない事には体当たりでぶつかって何とかこなしていくヴィカスを見ていると、最後には声援を送りたくなります。「ボーン」シリーズのジェイソン・ボーンの様にスマートではないけれど、でもその判断力や決断の早さ、決めた事を完遂する能力というのはボーンに通じるものがありますね。そしてその早さが「現代的」だと観客の目には映るのです。

ところでこの「第9地区」を見ていてそのテーマに一番近いなと思った作品は、実は映画ではなくて本でした。平井和正の「ウルフガイ」シリーズ です。

「ウルフガイ」の「狼の紋章」が出版されたのは1971年ですからもう40年も前の事になるのですが、それにようやく映画が追いついたのかと思うと感無量ですね。SF作家というのはやはり時代のうんと先を行ってる者なのですね。

それともう一つ、永井豪のマンガ、「デビルマン」。こちらは1972年だそうですから、やはり40年近く前。ビジュアル的には「第9地区」はこちらの方に近いかもしれません。

「ウルフガイ」も「デビルマン」も作品の中で扱っている素材は全然違うんですが、人間の描き方という点で「第9地区」との共通点を感じるんですよ。人間の本質のとらえ方が同じ視点とでも申しましょうか。その視点は作品のポイントともいえる一番重要な点だったのに「ウルフガイ」も「デビルマン」も映像化された時には完全に無視されオミットされていたものを、「第9地区」に至ってようやく見ることができたという気がします。

そういう意味でも「第9地区」は私にとっては満足度が非常に高く、「これぞ究極のSF映画!」と賛辞を贈るのにふさわしい映画なのでした。

ま、そんな個人的な理由がない人にとってもこの映画は絶対おもしろいと思います。特にゲームの「HALO」が好きな人にはぴったりかも。

この興奮は是非映画館で味わって下さいませ♪



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