> 現在開催中の第9回トライベッカ映画祭に、映画『鉄男 THE BULLET MAN』を出品中の塚本晋也監督が、何とロバート・デ・ニーロに『鉄男』の次回作への出演を直接オファーし、「イエス」の返事をもらったという。
先日行われた「北米プレミア」で370席の会場をほぼ満席にし、大成功を収めた映画『鉄男 THE BULLET MAN』。その翌日、トライベッカ映画祭の主催者である俳優ロバート・デ・ニーロの昼食会に、本作でメガホンを取った塚本晋也監督と、主演俳優のエリッ ク・ホジックが招かれた。そして以前から好きな俳優としてロバート・デ・ニーロを公言している塚本監督にとって、夢の対面が実現した。
まず
「ロバート・デ・ニーロさんが出ている映画が大好きです」とロバートにラブコールを送った塚本監督は、夢の時間も終わりに差し掛かったところ で、「もし僕の映画、例えば『鉄男4』をアメリカで撮るとして、デ・ニーロさんに出演してください! とオファーをした場合、出てくれる可能性はあります か?(笑)」
とロバートに大胆な質問を浴びせた。するとロバートは爆笑……しかし、その後丁寧に
「ああ、もちろんだよ! 僕が出たいと思うような物語があ り、脚本があったら、僕は喜んで出させてもらいたい」
と回答した。塚本監督は
「脚本を送ります!」
とロバートに気に入ってもらえる脚本を書こうと決意した かのようだった。
塚本監督は、会話の中で、自身が尊敬するマーティン・スコセッシ監督についても、彼と最強とも言えるタッグを組んできたロバートに
「ほかの監督と 比べて、彼の演出の違うところはどこだと思いますか?」
と質問。するとロバートは
「彼の素晴らしいところは、どんなことでも喜んでやってみようと行動して くれるところなんだ。それが、彼が思っていたのとは少し違ったことであってもね。彼はいつだって新しいアイディアを喜んでくれるし、受け入れてくれる。そ れは監督としてすごく大事だと思うんだよね」
と映画界の巨匠スコセッシ監督が意外にも柔軟な人物であることを明かした。
さらにロバートのスコセッシへの賞賛は止まらない。
「例えば、特に若い監督にありがちなんだけど、自分で脚本を書いて、監督をする場合なんかに、 もともと頭に描いたビジョンにあまりに固執しすぎてしまって、現場で生まれた新たな可能性を全部最初からつぶしてしまうようなことがね。だから少なくとも 俳優に、新しいアイディアをぶつけても良いと思わせることが、俳優にやる気を起こさせる。これがクリエイティブなプロセスにおいて非常に大事なこと。それ は、俳優に限ったことではなくて、すべての人たちにとってね。撮影監督も衣装デザイナーも、脚本家も、すべての人たちがそういう気持ちを持つことが大事な んだ。そういう環境を作るのがマーティンは非常にうまいんだ」
とその柔軟性が監督には重要なことを話した。
今回の昼食会で、あこがれのロバートから監督として勉強になる貴重な話を聞くことができた塚本監督。対面後は、しばらくの間、放心状態になってい たという。
映画『鉄男 THE BULLET MAN』は5月22日よりシネマライズほかにて全国公開