読 売新聞

>1日開幕した上海万博では、各国政府が出展する国家館に人気が集まる中、民間企業22社と2地方自治体が出展した「日本産業館」が3時間待ちの行列を作 り、異彩を放った。

 同館は「きれい かわいい 気持ちいい」がコンセプトで、好評だったのは縦18メートル、横10メートルの巨大スクリーンを使った日本文化紹介の映像。 十二単(ひとえ)などから、人気アイドルの「AKB48」や「メイド喫茶」「オタク文化」まで、幅広く、コンパクトな内容が中国の若者たちの心をとらえた ようだ。

 米国留学から里帰り中という上海の蔡晨霞さん(20)は「日本のアニメが好き。オタクはたまりません」と独学の日本語で話した。

 日本産業館の外には、高さ20メートルの建設用足場を背丈130センチのロボット3体が上り下りを繰り返す仕掛けも。「勤勉な日本人を象徴したもの」と いう。

 一方、官民が130億円を投じて出展した「日本館」はバイオリンを弾くロボットや笑顔を識別して撮影するカメラなどハイテクが売り物。会場でひときわ目 を引く逆台形の中国館では、マルチメディアを駆使した動く絵巻「清明上河図」が圧巻だ。長さ130メートル、高さ6・5メートルの巨大な画面に、人が船を こぎ、ラクダの隊列が練り歩く町のにぎわいが映し出される。

 初の海外展示として注目されているのがコペンハーゲンから運ばれたデンマーク館の人魚姫像。フランス館は、ミレーの油彩画「晩鐘」やロダンの彫刻「青銅 時代」など、7点の国宝級美術品を展示している。

 外国で最高額の13億元(約169億円)を投じたサウジアラビア館では、宇宙から自国を見下ろしたイメージを見せる世界最大の3Dシアターが人気だ。