「007」シリーズの製作スタジオが、MGMからワーナー・ブラザースに移る可能性が高くなってきた。同シリーズの権利を所有しながら約 37億ドルの負債を抱えるMGMは、昨年11月から競売にかけられているが、落札候補がワーナー・ブラザースの親会社タイム・ワーナー1社にしぼられたこ とが分かった。
3月なかばまでの段階では、タイム・ワーナー、ライオンズゲート、ロシア出身の実業家でショービジネス界への進出を目指す レン・ブラバトニックが率いるアクセス・インダストリーズの3社が入札に参加。しかしその後、ライオンズゲートが降り、先週末にはアクセス・インダスト リーズも手を引いた。
タイム・ワーナーは先週、今年第1四半期の売上高が、過去2年間で最高を記録したことを報告、企業買収資金として 50億ドルにのぼる潤沢な資金があることを明言。だが、タイム・ワーナーの入札額は、MGMとその債務保有者の希望額20億ドルを大きく下回る15億ドル 程度と見られており、MGMがすぐに応じるかは不明だ。
MGMの資産は「007」シリーズのほか、「ロード・オブ・ザ・リング 」の前章となる「ザ・ホビット(原題)」2部 作や「ピンク・パンサー」シリーズの権利、4000タイトルのライブラリー、ユナイテッド・アーティスツ(UA)などを含む。
「007」 シリーズの製作を手がけるイオン・プロダクションは4月19日、MGMの先行きが不透明であることから、シリーズ最新第23作、通称「ボンド23」の撮影 を無期限で延期することを発表している。