アカデミー賞6冠キャスリン・ビグロー監督の次回作に、南米の観光相らが「援助はしない」
映画『ハート・ロッカー』でアカデミー賞監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督が、次に手掛ける予定の映画で、舞台となる南米諸国が「地域のイ メージを壊す」と反対の意を唱えている。
映画『ハート・ロッカー』でアカデミー賞監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督が、次に手掛ける予定の映画で、舞台となる南米諸国が「地域のイ メージを壊す」と反対の意を唱えている。
この映画は、アルゼンチンとパラグアイ、ブラジルの3か国が接する国境地帯「トリプル・フロンティア」を舞台にした、麻薬密売にまつわるアクショ ン作品。この地域は麻薬密輸や武器取引などの拠点として知られており、こうした背景を映画に取り込む予定だ。
一方で、この地域には世界遺産のイグアスの滝など、世界中から観光客が訪れるツアー・スポットがあり、南米諸国の観光大臣たちはこの映画の影響を 心配しているよう。パラグアイの観光相は地元紙「ラ・ナシオン」のなかで、地元の政治家や実業家たちは怒っており、この映画はパラグアイ政府からの援助は 受けられない、とコメント。「このような作品が公開されれば、その後、わたしたちの国のイメージを回復するのにどれほどのコストがかかると思っているの か。この作品を援助するなんて、ばかげた話」と語っている。さらに、「ほかに描くべきテーマはないのか。代わりに、アメリカ国境で8,000人が処刑され たことを映画にすればよい」とかなり憤慨している様子。
またアルゼンチンの観光相もAFP通信で、「この地域のことを悪く描くことに怒りを感じている」とコメント。一方で、ブラジルはこの作品について より楽観的で、イグアスの滝への拠点となるフォス・ド・イグアス市のスポークスマンは「ただの映画だろう? ニューヨークだって映画の中で何度も破壊され ている。映画が街のイメージを壊すことはないと思うし、オープンな気持ちで迎え入れなければ」と語り、援助へ前向きな姿勢を見せている。