>性犯罪者の監視制度と更生を描いた映画「Scope(スコープ)」が話題を呼んでいる。5月に東京・渋谷で封切られ、20日間だった上映予定も延長。性
犯罪で立件された性依存症者の治療現場でも上映された。卜部敦史(うらべ・あつし)監督(28)は「話題にすることがためらわれる性犯罪について、議論の
きっかけになればうれしい」と話す。
映画は、性犯罪者を監視する法律(Scope法)が制定された未来の日本を舞台に、強姦罪で服役した青年の出所後の現実を描く。服役後は“無罪”になる はずの元犯罪者につきまとう偏見。事件から何年たっても被害者側の傷は決して消えない。卜部監督は当事者双方の思いをすくい取り、答えの出ない問いを投げ かける。
「通常は話題にならない性犯罪の被害者と加害者のその後を描きたかった」と卜部監督。「ぼくの友人にも性犯罪の被害者がおり、加害者を擁護するつもりは ない」と話すが、被害者側からは「加害者が生きる希望を見いだす展開は共感できない」と言われたこともあるという。それでも「誰もが目を背けたがる性犯罪 について、もっと議論をしてもよいのでは」と一石を投じる意義を強調する。
投じた一石は、思わぬ形で広がっている。性犯罪者の地域トリートメント(治療)のあり方を研究する「新大塚榎本クリニック」(東京都豊島区)の斉藤章 佳・精神保健福祉士は5月中旬、2回にわたり性犯罪前科者や公判中の加害者計約30人に映画を見せた。「当事者視点で見ることで自分を振り返ってもらいた い」と、上映後にアンケートも実施。「映画は心のかなり深い部分に突き刺さったようだ」という。
さいたま地裁で開かれた強制わいせつ致傷罪の裁判員裁判では求刑を上回る懲役8年の判決が出されるなど、性犯罪者に対する処罰感情は厳しい。再犯率が高 いともいわれており、法務省などは性犯罪者監視制度の研究を始めている。
だが、斉藤氏は「性犯罪者は『性依存症』になっている。監視、厳罰に加え、治療も必要だ」と指摘。6月4日の上映後に行われるトークショーで、映画を見 た加害者のアンケートでの生の声を発表する予定だ。
映画「Scope」は東京・渋谷の「アップリンク」で6月11日まで上映予定。
映画は、性犯罪者を監視する法律(Scope法)が制定された未来の日本を舞台に、強姦罪で服役した青年の出所後の現実を描く。服役後は“無罪”になる はずの元犯罪者につきまとう偏見。事件から何年たっても被害者側の傷は決して消えない。卜部監督は当事者双方の思いをすくい取り、答えの出ない問いを投げ かける。
「通常は話題にならない性犯罪の被害者と加害者のその後を描きたかった」と卜部監督。「ぼくの友人にも性犯罪の被害者がおり、加害者を擁護するつもりは ない」と話すが、被害者側からは「加害者が生きる希望を見いだす展開は共感できない」と言われたこともあるという。それでも「誰もが目を背けたがる性犯罪 について、もっと議論をしてもよいのでは」と一石を投じる意義を強調する。
投じた一石は、思わぬ形で広がっている。性犯罪者の地域トリートメント(治療)のあり方を研究する「新大塚榎本クリニック」(東京都豊島区)の斉藤章 佳・精神保健福祉士は5月中旬、2回にわたり性犯罪前科者や公判中の加害者計約30人に映画を見せた。「当事者視点で見ることで自分を振り返ってもらいた い」と、上映後にアンケートも実施。「映画は心のかなり深い部分に突き刺さったようだ」という。
さいたま地裁で開かれた強制わいせつ致傷罪の裁判員裁判では求刑を上回る懲役8年の判決が出されるなど、性犯罪者に対する処罰感情は厳しい。再犯率が高 いともいわれており、法務省などは性犯罪者監視制度の研究を始めている。
だが、斉藤氏は「性犯罪者は『性依存症』になっている。監視、厳罰に加え、治療も必要だ」と指摘。6月4日の上映後に行われるトークショーで、映画を見 た加害者のアンケートでの生の声を発表する予定だ。
映画「Scope」は東京・渋谷の「アップリンク」で6月11日まで上映予定。