『TRICK』『コナン』も上映!iPhone、iPadで聴覚障害者の鑑賞をサポートする日本初のサービスが開始!

シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

> 23日、映画『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』『名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)』を上映中の東京都大田区のテアトル蒲田と蒲田宝塚で、iPhoneを使った鑑賞サポートサービスが開始された。

 1964(昭和39)年オープンの映画館、テアトル蒲田と蒲田宝塚は、東映系、東宝系の封切り作品を上映する常設館。JR蒲田駅西口から徒歩5 分。アーケード商店街内の蒲田文化会館4階で営業を続ける歴史ある映画館だ。蒲田といえば、深作欣二監督82年の大ヒット映画『蒲田行進曲』で知られる映 画の都。JR蒲田駅の発車ベル音に「蒲田行進曲」が採用されるなど、映画とのかかわりも深い。しかし蒲田の隣駅は、全国屈指の観客動員数を誇るシネコン激 戦区・川崎であるため、決して順調な経営であるとは言えないのが正直なところだ。最盛時は20数館あったという蒲田の映画館も、現在ではこの2館を残すの みとなった。そんな状況の中でも「蒲田の映画の灯を消してはいけない」というオーナーの心意気によって、現在でも運営が継続。昔なじみの中高年層や、アニ メを楽しみに来場するファミリー層に支えられてきた映画館である。


 そんな老舗の映画館で、上映中の邦画作品の日本語字幕がリアルタイムにiPhoneに表示されるという、聴覚障害者を対象とした鑑賞サポートサー ビスが始まった。利用方法は簡単だ。iPhoneのブラウザ、サファリを立ち上げて、3G回線を使用して字幕配信サーバーにアクセスするだけ。入場時に教 えられたパスワードを入力すれば、聴覚障害者でも即座にiPhone片手に映画鑑賞が楽しめるようになるという仕組みだ。今月末に発売予定のiPadにも 対応させる計画があるなど、今後の展望に期待が寄せられている。その他、視覚障害者のために、映画の場面をリアルタイムで解説する音声ガイド(副音声)の FMラジオ送信サービスも同時に行われるなど、老舗の映画館がバリアフリーに特化した劇場に生まれ変わることになった。

 今回の企画を運営するNPO法人MASCによると、2009年に劇場公開された邦画作品は488本。そのうち聴覚障害者対応字幕付き上映が行われ た作品が52本、視覚障害者対応音声ガイド上映が行われた作品は2本のみとなっている。近年、バリアフリー上映は、映連が推進してきた影響で全国的に注目 を集めてきており、映画『武士の一分』『重力ピエロ』『ハンサム★スーツ』といった作品が一般の映画館で上映される機会に恵まれた。また、今後も映画『春 との旅』や『座頭市 THE LAST』といった映画のバリアフリー上映が全国で予定されているなど、その輪がさらに広がっている。しかしこれらの上映に使われる字幕付き、音声解説付 きのフィルムプリントは限られているため、1本か2本のフィルムを全国で使いまわすことになる。そのため、ひとつの劇場でバリアフリーの上映が開催される のは1日か2日がせいぜいだった。もちろんこのバリアフリー上映会の開催日に足を運べなければ鑑賞することは叶わず、気軽に鑑賞するというわけにはいかな かったというのが現状だった。


 しかし、この上映なら毎週日曜日に実施されているため、自分の都合に合わせて気軽に映画を鑑賞することが出来る。しかも最近では使用されなくなっ たという劇場の2階席を開放するため、普通に来場した一般客との共存も可能。同じ空間で同じ映画を楽しむという映画館本来の楽しみがなされるというシステ ムの発表に、早くも注目が集まっている。劇場スタッフは「蒲田に住んでる人でさえ、地元に映画館があることを知らないんですからね(笑)。でも、このシス テムが浸透するようになって、多くの人に来てもらえるようになればいいですね」と今後の展望に期待をしていた。バリアフリー上映を通じて、「キネマの天 地」蒲田の映画館が復活するか。今後に注目したい。


<今後の上映予定作品>
6月5日から『孤高のメス』
7月10日から『必死剣 鳥刺し』『劇場版ポケットモンスター/ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク』
テアトル蒲田と蒲田宝塚のバリアフリー上映は毎週日曜日の18時30分まで開催(6月以降のスケジュールはhttp://kamata.main.jp /で要確認)