シネマトゥデイより(以下一部抜粋)

才能がありながらも落ちぶれてしまい、破滅的な人生を送る孤高のシンガーソングライターを演じたジェフ・ブリッジス がアカデミー賞主演男優賞を受賞した映画『クレイジー・ハート』。本作の日本公開を記念して、日本で“荒ぶる魂”を持ち続ける泉谷しげるが「MR.クレイ ジー・ハート」に就任し、作品についてと盟友・忌野清志郎さんへの想いを語った。

 日本の「クレイジー・ハート(荒ぶる魂)」泉谷は登場するなり、「昨日のライブでも暴れてめちゃくちゃにしてやりましたよ」とニヤリ。「何かよく 分からないんだけど、必ずぶち切れてくださいとメールなりで依頼が来るんだよ(笑)。今は何もかもが決まりきっていてしゃくし定規だから、若い子でもそう いうのを望む人がいるんじゃないかね」と笑ってみせる。破天荒でありながら、それでいてどこか憎めない面を持つ泉谷のようなミュージシャンは少なくなっ た。「若いやつらは本当に礼儀正しくて、ちゃんとしてますよ。中年の方がむちゃですよ。昔はどんだけむちゃをやるかのコンテストだったですから。おれの方 がすごいことをやったぞと自慢したいんですよ。一見、アイドルに見えるような2枚目でもみんなそうでしたから。それが楽しかったですね」と懐かしそうな表 情を見せる。


 くしくも今回のインタビューを敢行した日は5月1日、忌野清志郎さんの命日(5月2日)の前日だった。泉谷といえば、「ぼくの好きなキヨシ ロー」(WAVE出版)という本を執筆し、そこで「(清志郎さんが)どんなにすごいやつだったかってことをあらゆる形でもっともっとしつこく言っていかな いと」と宣言するほどにそのつながりは深い。


映画『クレイジー・ハート』の中には、かつての弟子であり現在は大スターとなってしまったトミー・スウィート (コリン・ファレル)が、破滅的な人生を送るバッド(ジェフ・ブリッジス)を何とか表舞台にカムバックさせたいと手を尽くすというくだりがある。それを踏 まえて、トミーとバッドを、泉谷と清志郎さんになぞらえてしまったと告げると、「どっちがトミーでどっちがバッドなんだか……。先に逝くなよという感じが しないでもないけどね」とポツリ。「今日は自分にとってはインパクトのある日なんですよ。おれにとっては(命日は2日じゃなくて)1日なんですよね。この 日の夜の10時くらい電話がかかってきたから」と述懐する泉谷に、音楽を愛した清志郎さんは本作を観ただろうかと尋ねてみた。「おそらく観るでしょうね。 まちがいなく。でも自分は彼が死んだと思ってないから」と答えた声はとても力強いものだった。


 本作はジェフ・ブリッジスが破滅的な人生を送るシンガーを演じ、アカデミー賞主演男優賞を受賞した感動のヒューマンドラマ。かつて一世を風靡(ふ うび)した伝説のシンガーソングライターの愛と再生を描く。


映画『クレイジー・ハート』は6月12日よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー