>ハリウッドで活躍する日本人スタントマン南博男さんが、先日発表されたワールド・スタント・アワードで日本人としては史上初となるベスト・ハイワーク部門 で最優秀賞を受賞しました。ワールド・スタント・アワードはアクション映画のスタントマンたちに贈られる名誉ある賞で、ハリウッドにあるパラマウント・ピ クチャーズのスタジオ内で授賞式が行われました。
ハイワークとは高いところから落下したり、ジャンプやダイブをする高所に関するスタントのこと。南さんはワイアーにつながれ、ラチェットと呼ばれ る機械で引っ張られ、厚さ2センチのガラスを突き破って8メートルの高さから車に落ちるというスタントに挑戦したSF映画「プッシュ」(日本未公開)での 受賞となりました。今回はベスト・ハイワーク部門以外にも体当たりを演じるハーデスト・ヒット部門にもノミネートされていましたが、こちらは残念ながら受 賞には至りませんでした。
クリス・エヴァンズ、ダコタ・ファニング共演の「プッシュ」は、超能力者の若者2人が香港にいる未来予知能力を持つ女の子を探し出し、闇の政府と 闘う物語。「どちらかひとつは取りたいと思っていたので大変うれしく思っています」と、南さんは日本人初の快挙となった受賞の喜びを語ってくれました。紆 余曲折を経てようやくつかんだチャンスをものにした南さんは、アメリカンドリームをまさに体現したと言っても良いでしょう。
「最初にこの作品のオファーをいただいた時は、オーストラリアで別の作品を撮っていたので断りました。でも、その後スケジュールがうまく調整で き、参加することができました。今度はスタントシーンの撮影スケジュールが変更となり、いったんは別の人が私のスタントをやることになったのですが、スケ ジュールが元に戻り、このスタントをこなすことができ、今回の受賞という形になりました。今思うと、運としか言いようがないですね。本当にラッキーでし た。撮影現場では、ガラスを突き破るスタントで頭を切って病院で縫うことになったり、車に落ちるスタントではタイミング等が合わずに7テイクするなどの苦 労もありました」。
南さんは日本のスーパー戦隊シリーズを海外向けに製作した「パワーレンジャー」で、現地の俳優が演じるパワーレンジャーのスタントとして01年か ら7シーズン連続で出演。その後はHBOのテレビドラマ「The Pacific」や、映画「ナルニア国物語カスピアン王子の角笛」「30デイズ・ナイ ト」、今夏に公開されるM・ナイト・シャマラン監督の話題作「エアベンダー」にも出演するなど、活躍の場を広げています。
「思い出に残っている作品はたくさんあります。今回受賞することができた「Push」はもちろんですが、「ナルニア国物語カスピアン王子の角笛」 をヨーロッパで撮影している時に、スタントカメラ・オペレーターをやらせてもらったのが一番思い出に残っています。主役のベン・バーンズとカメラを持った 自分がワイヤーで8メートルの高さにつるされて、主役の背後からカメラを操作しながら進んでいくという場面をやりました。そのシーンを実際に映画で見た時 は、出演している時とはまた別の感動がありました」。
ハリウッドの第一線で活躍する日本人スタントマンはあまりいないそうですが、「最低限のコミュニケーションレベルは絶対に必要。特に危険なことを するシーンでは、しっかりとコミュニケーションを取れないと使う方も心配で使えませんから。日本人に限らず、アジア系を必要とする作品が少ないので、その 分競争率は激しいですね」と南さん。将来はスタントマンだけではなく、スタントやファイトのコーディネーターを目指していると言います。
「またこのような賞がとれるように頑張りたい。目標としては、今までの経験を生かしてスタントコーディネーターやファイトコーディネーターなど、 クリエイターサイドに入って行けたらいいですね」。
挑戦はまだまだ始まったばかりのようです。
※南博男さんの公式HPはこちら。www.hiroominami.com
<写真=ワールド・スタント・アワードのベスト・ハイワーク部門で最優秀賞を受賞した南博男さん>
スタントさん達なくしてアクション映画はありえません!
普段顔の出ない裏方に徹している方々がきちんと表彰されるこういう機会をもっと増やして欲しいものです(俳優の顔が見えないアクションシーンはほとんどスタントさんがこなしていると思ってます。顔がなんとなく出てるなと思うとスタントさん本人の顔は微妙に塗りつぶされてたりしてね)。
アカデミー賞でも「ベストスタント」が表彰される日が来て、いずれはその壇上に南さんが立つ日がくればいいですね。
ところで話は全然違いますが、上で「未公開」とされている「PUSH(プッシュ)」、日本では「光と闇の能力者」と副題がついて去年の11月7日にしっかり公開されております。あたしゃわざわざ新宿まで見に行ったんだから間違いないです(←さりげなくクリス・エヴァンスのファン。ダコタちゃんも♪)公式サイトはこちら 。
こんな東京消防庁とのタイアップポスターもあったんだから!
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今これ、この仕事(?)アイアンマンが引き継いでますよね。
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「PUSH」の方は当然もうDVDもブルーレイも発売になってますので、興味のある方は御覧になれます。
この作品はSFで、しかも話が入り組んでいるのでDVDで何度も見た方がストーリーが解析できておもしろいかもしれません。南さんの受賞でも明らかなように、スタントにも気合い入ってますしね。
クリス・エヴァンス、可愛いし♪(←結局それかい)
この映画は高いところから落ちるとか、猛烈な勢いで壁にたたきつけられるとか、そういう激しい衝撃でぶつかり合うシーンが多かったですねえ。その結果を引き起こす最初のアクションが「PUSH」なのですよ。つまりタイトル。結構派手な映画なんです。