> 今年、米ハリウッド進出30周年を迎えた香港俳優のジャッキー・チェン(56)が、このほどスポーツ報知の単独インタビューに応じた。19日には最新作 「ダブル・ミッション」(ブライアン・レヴァント監督)が公開。引退を決意したCIAの敏腕スパイを演じているが、アクション俳優として現在も活躍する ジャッキーは、自身の引退について「全く考えてない」と“生涯現役”を宣言。また、上海万博でのPRソング盗作騒動について、初めて口を開いた。

 1980年、「バトルクリーク・ブロー」でハリウッドに進出してから30年。この間、世界を代表するアクション俳優の第一人者として、常にトップを走り 続けてきた。

 「30年と言われても、ピンとこないね。自分では気にしたことがなかったし、周囲から言われて気づいたくらい。ただ、ここ10年くらいは時間がたつのが 早く感じるようになったかな」

 30周年記念作品「ダブル・ミッション」は自身が「記憶にある中では初めて」という父親役に挑戦。ファミリー向けの作品でもあるが、もちろん、ジャッ キーの真骨頂であるアクションも健在だ。

 「今回もそうだけど、これまで頑張れたのは、自分がやりたい作品に出演してきたからだと思う。世の中のブームにとらわれず、映画を作ってきた。だからこ そ、ハリウッドに行ったばかりの頃は誰も相手をしてくれなかったのが、今ではアクションに関しては自分で口にするのも何だけど、僕の言うことを聞いてくれ るようになったんじゃないかな」

 30年前、英語をほとんど理解できなかったが、反骨精神で自らの地位を築き上げてきたことを懐かしそうに振り返った。

 「ダブル―」でジャッキーが演じている主人公・ホウは、CIAからの引退を決めたエージェント。自身ももう56歳。引退を考えることはあるのだろうか。

 「映画の仕事は、もう2015年まで全部スケジュールが決まっている。自分の誕生日も忘れちゃうくらい、忙しいね。今も2日間休みがあるだけでも、すご くうれしいくらい。でも、朝起きた時に何もすることがないと困るんだ。友達を呼んで脚本の話をしたり、ほかの俳優の撮影現場に行ったり指導をしたりしてい る。多分『死ぬ日がリタイアの日』って言えるんじゃないかな」

 そんな多忙の中、現在取り組んでいるのが中国にシネコンを造ること。先月29日、北京市内に17スクリーンを擁する、その名も「ジャッキー・チェン・シ アター」をオープンさせた。聴覚障害者向けに補聴器の貸し出しを行うなど、誰もが楽しめる環境づくりを第一にしている。

 「映画人として、何よりも重要なのは作品を見てもらうこと。アメリカでは2万スクリーン以上もあるのに、中国は5000くらいしかない。数が少な過ぎる からね。視覚、聴覚の両方で楽しめるような劇場を造りたいんだ」

 今後は上海をはじめ、各地にオープンさせる予定。引退する暇はなさそうだ。

 「これからも、アクションはもちろん、いろんな僕を見てほしい。まだまだ頑張るよ」

 ファンからの声援をパワーに、ジャッキーはスクリーンの中で躍動を続けていく。

 ◆ジャッキー・チェン(成龍)1954年4月7日、香港生まれ。56歳。61年、中国戯劇学院に入学。71年に卒業後は「燃えよドラゴン」などブルー ス・リー作品にスタントマンとして出演。74年「燃えよジャッキー拳」で初主演。76年の「スネーキーモンキー/蛇拳」から人気が上昇する。80年の「バ トルクリーク・ブロー」でハリウッド進出。02年10月にはハリウッドの殿堂入りを果たした。ほかの代表作に「プロジェクトA」「ポリス・ストーリー/香 港国際警察」などがある