“臨場感”で伝える世界遺産の魅力 3D映画『FURUSATO 宇宙からみた世界遺産』日下宏美監督インタビュー

>3D映画『FURUSATO 宇宙からみた世界遺産』が19日から公開される。監督は、TBS系『THE世界遺産』などで知られる映像ディレクター・日下 宏美。同番組で培った撮影ノウハウを生かしながら、テレビとは違うアプローチで世界遺産の魅力を伝える。それは2つの“臨場感”だ。

 一つは、案内役として登場する子供たちが醸し出す“臨場感”。『おくりびと』で脚本を担当した小山薫堂氏によるオリジナルストーリーを演じるニュージー ランドの少年(マット・レイワード)、広島の少女(内田伽羅)、エジプトの兄弟(ユセフ・ワエル、アブド・ムハンマド)が語り部となり、日常の中にある世 界遺産を子供の目線で描く。

 『世界遺産』シリーズで約100本の作品を演出してきた日下監督は「世界遺産と呼ばれている場所はそんなに特別な場所ではない」とある種の“誤解”を指 摘する。実際、一般の人が行きたくても行けない場所も少なくないし、例えば4000年の歴史があるエジプトのピラミッドの映像を見ていると、なんだか別世 界の話のようにも思えてくる。

 だからこそ、日下監督は「実際は、ピラミッドのそばで洗濯物を干していたり、子供たちが遊んでいたり、普通に暮らしているんですよね。世界遺産は現地の 人々にとっては日常の暮らしに密着した存在で、それはエジプトでもニュージーランドでも日本でも同じで、場所は違っても同じように子どもたちの生活があ り、子どもたちは同じように星空に夢を願っていたりする。そういう普通の“つながり”みたいなものを感じてもらえればいいかな」と作品に込めた思いを語 る。

 同作では広島の少女を演じた内田が俳優・本木雅弘と内田也哉子夫妻の長女であることが話題の1つではあるが、それは日下監督が偶然、インターネットで内 田の写真(渡邊琢磨のCD『冷たい夢、明るい休息』のジャケット写真)を見つけたのがきっかけだったという。「演技よりもそこに佇むだけでオーラを発する 存在感のある女の子を探していた。お願いしてみたら、本木さんがOKしてくれたので、奇跡的に実現しました。伽羅ちゃんも期待以上に頑張ってくれました。 将来が楽しみです。彼女がもう少し成長したら、もう1回、彼女をメインにした作品を作ってみたい」と日下監督もつい欲が出る。

 2つ目の“臨場感”は、ハイビジョンの4倍の解像度を誇るデジタルカメラで全編実写撮影した超高精細映像だ。ニュージーランドにある太古のままの森や フィヨルド、文明発祥の地エジプトのピラミッド地帯、広島の厳島神社や原爆ドームがスクリーンに映し出され、まるでそこに立っているような感覚を味わえ る。とくに、自然風景の3D立体映像は、葉っぱの1枚1枚がすべて違う奥行きで再現され、CGでは作り出せない実写の底力を感じさせる。

 「カメラやレンズがどんどん高性能になっても、それだけでは効果を発揮出来ないと思う」と日下監督は、撮影スタッフの働きを労う。「ニュージーランドの 空撮は前日にものすごい雨が降って、滝に水があふれていた。そこへ優れたパイロットが、大胆にヘリを操縦してくれて、満足の行く映像を撮ることができまし た。とくに自然遺産の撮影は運も必要で、今回はいろいろなタイミングに恵まれました」と自信をのぞかせた。

 映画『FURUSATO ~宇宙からみた世界遺産』はワーナー・マイカル・シネマズ板橋ほか全国3D映画館で6月19日(土)より公開






Who killed Cock Robin?


本 木雅弘&内田也哉子夫妻の長女・内田伽羅の出演シーン