「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日 酔い」(公式サイト
Who killed Cock Robin?

試写会で見てきてしまいました!(ちゃんと素面で)
映画見ながらこんなにゲラゲラ笑ったのは一昨年新宿で見た「ホット・ファズ」以来ですよ(あの映画館は今はもうないのね……)。

そういえば「ホット・ファズ」も当初は日本公開の予定がなかったのが熱心な署名活動のせいで上映に漕ぎ着けたという経緯がある作品で、この「ハングオーバー」もツイッター等で広く公開に向けての署名を集めていたようですから、そんな所もなんとなく似ているのかも。

元々「ハングオーバー」は日本ではビデオスルーでのDVD発売が決まっていて、上映されるのは
第2回したまちコメディ映画祭in台東(したコメ )でジャパンプレミア1回ぐらいのはずだったんですよ。それでその時見に行けなくて残念だなあと思ってたら、熱意あるファンのおかげでいつの間にやら日本公開が決定していて、へえ~と思ってたら今年の沖縄映画祭(こちら )でも堂々上映されたりして、そんなこんなで自分の中ではやたらこの作品に対して期待が高まってたんですよね。

実は最初この作品の紹介映像を「ハリウッド・エクスプレス」で見た時はよくあるバチェラーパーティーの下品な映画かと思っていや~な印象を抱いてたんです。

ところがフタをあけたら大ヒットで、それもかなり長い間トップ10に留まって、その上ゴールデングローブ賞に輝いちゃったでしょ? あ、これ、ひょっとしたらちゃんとした映画なんじゃないかとその時考え直したんですよね(やはり賞をとるというのは大きい……)。下品なだけのお笑い映画だったら、まずゴールデングローブはあり得ませんから。

それで評価を読み直すと、どうやら脚本がとてもよくできているらしいじゃないですか。

これは是非とも自分の目で確かめねば! と思って試写会にたくさん申し込んで、その中の一つに運良く当選したというわけです。

この作品の存在を知ってから1年あまりという長い時を経てようやく見る作品ですからいやがおうにも期待は高まってます。これだけ期待が大きいと、失望する可能性もそれだけ大きいので不安も同じぐらいあったりしたのですが……。

最初の内はその不安を払拭できないシチュエーションが続き、登場人物のほとんどがイヤなヤツかダメ男に見えて「え”~」ってな感じだったのですが、学校の先生である友達を校舎の側で車に乗って待っている時の別の二人のやりとりがもう、あまりに秀逸でおかしくて、そこから先は全編笑いっぱなし!

この笑いがとんでもなくおかしいのは、それまでの会話の流れからはまるで予想もつかない世界に一瞬でワープさせられてしまうからなのですね。

それはシチュエーションでも同じで、たとえば下の方で紹介した予告編でも分かるとおり、バスルームに行ったら○○がいたとかクローゼットを開けたら○○ちゃんがいたとか、およそ常識では考えられない事象がドアをあけたらそこにあるというのが基本パターンとなっているのです。

登場人物達はそのままドアを閉めて「なかった事」にしてしまいたいその事実に、ある事情からどうしても直面しなくてはなりません。イヤでも恐ろしくても厄介でも逃げ出したくても、何が何でも踏みとどまってその事実に向かい合い問題を解決していかなくてはならないのです。

この問題解決の一つ一つがある程度完結した一つのコメディになっていて、一つ問題が解決されると次の問題が出る、それを解決するとまた次の問題が出る、という具合にゲームのようにステージを順番にクリアしていくことによってゴールに近づいて行くという寸法になっています。これが分かりやすくてメリハリの利いた上手な構成なんですよね。

映画に多いパターンとして、幾つものストーリーが錯綜し謎が謎を呼びながら終局へ向かって進んでいき、最後にそれらが一つにまとまって(ほぼ)全ての謎が解決して終わるというものがありますが、「ハングオーバー」はそういうのとはまるで違っていて、謎は一つ一つ順番に比較的簡単に解けていくんですが、その次から次に現れる謎と問題を一体どこまで解決したら根本的な解決に辿り着くのか分からない、というのがスリリングなのですね。

最初はイヤなヤツやダメ男に見えてた登場人物達が難問にしっかりと向かい合い、逃げずに解決していく過程で人間的な成長を得るというのも物語の醍醐味としてしっかり味わえます。

とにかくこれはもう見なければ分からない!

この夏一番のおすすめコメディ映画はズバリこれ、「ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」で決まりです。

とりあえず単館系のロードショーみたいですけど、ぜひぜひ大ヒットさせて、全国津々浦々まで爆笑の渦に叩き込んでやりましょう。