>決勝トーナメント・パラグアイ戦を前に最終調整するGK川 島=南アフリカ・プレトリアのロフタス・バースフェルド競技場で2010年6月28日、佐々木順一撮影 |
【歴史をひらけ日本】パラグアイ戦 直前の表情と戦いのポイント、注目選手
第2戦のオランダ戦。1点リードされた後半残り5分。フリーになった相手選手のシュートが日本ゴールを襲ったが、川島選手が体に当ててゴールを死守し た。「引き分けでも突破」という第3戦の有利な状況を生んだビッグプレーだった。
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所属チームでも日本代表でも、楢崎正剛選手(34)の陰に隠れてきた。
プロ3年目に当時J2の大宮でレギュラーをつかむと、翌年、当時日本代表の正GKだった楢崎選手のいるJ1・名古屋に移籍する。「チャレンジしないと、 今以上の成長はない」という思いからだった。壁は厚く、楢崎選手の背中を見る日々が続く。それでも、いつか来るその日のために準備を続けた。
少年時代から、気合を前面に出す選手だった。中学時代の恩師、柏悦郎さん(52)は「練習でも『入れられるものなら入れてみろ』と気合を込めていた」と 明かす。高校時代は教諭に「帰れ」と言われるまで、練習に明け暮れた。
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「練習を見ていると調子が良く、体に伸びがある」。岡田武史監督による突然の抜てきは、本番直前のイングランドとの強化試合。相手のPKを止める活躍を 見せ、チャンスをつかんだ。
デンマーク戦では、PKをいったん止めた後、はじいたボールを押し込まれ、悔しさのあまりピッチを何度もたたきつけた。ピンチをしのぐと、まゆを逆立て ながら両手の拳を派手に握りしめ、少年時代のように自分と仲間に気合を入れた。
南ア入り後語った。「準備しておくしかないと思っていた。自分がこういう舞台に立ってプレーすることはうれしくもあり不思議」
大会前、岡田監督は「日本がトップへ行くためには、GKのファインセーブが1試合に1、2回ないと勝てない」と語った。それをはるかに超える回数のファ インセーブで、日本の快進撃の原動力となっている。