米俳優レオナルド・ディカプリオ(35)と俳優・渡辺謙(50)が共演する映画「インセプション」(クリストファー・ノーラン監督、23日公開)の米国 プレミアがチャイニーズシアターで行われた。レオ様は渡辺を「信じられないぐらい素晴らしい俳優。日本の国宝になるべきだ」と絶賛。米主要メディアからも 取材が殺到した渡辺は、アカデミー賞作品賞ノミネートに自信を見せた。

 ひときわ大きな歓声が沸き上がった。プレミア会場に渡辺が到着すると、ハリウッド大通りの沿道を埋め尽くした約3000人のファンは興奮気味に身を乗り 出した。「今回はスケールが違うね」。ハリウッド出演6作目となる「Ken Watanabe」も思わず目を丸くした。

 同時刻に米大リーグの第81回オールスター戦がエンゼル・スタジアムで行われていたが、負けず劣らずの熱狂ぶり。野球ファンの渡辺は「(球宴を)なんで 今日やるんだろう」と悔しがる一方で「この映画も実力者がそろった作品」と胸を張った。

 撮影は昨年6月に日本でスタートし、米国、カナダなど6か国で行われた。製作費1億6000万ドル(約140億円)をかけた大作。渡辺はディカプリオ演 じる主人公に仕事を依頼する巨大企業のトップ「斉藤」を演じる。レオ様に続く2番手の扱いで、約2時間半出ずっぱり。物語の重要な鍵を握る。

 レッドカーペットで渡辺と固く握手を交わしたディカプリオは「彼は感情に訴える強さがある。役作りに熱心だし、深く考える人。僕が共演してきた中でも最 高の俳優の一人だよ」と絶賛。「日本のナショナルトレジャー(国宝)になるべきだ」と熱く訴えた。

 CNNなど米主要メディアからも取材が殺到した渡辺は、流ちょうな英語で受け答えした。“ハリウッドスター”の貫禄十分。「これだけ大きなプロジェクト に呼んでもらえて光栄。『ラスト サムライ』(2003年12月公開)からやってきたひとつの成果かな。いい感じの窓が開いた。次はどこに向かって飛び出 すことができるんだろう」と、さらなる飛躍の可能性に胸を躍らせた。

 同作は米国のオスカー予想サイトで、早くも来年2月の第83回アカデミー賞作品賞候補10作品に名前が挙がっている。「クリス(監督)は呼ばれるんじゃ ないかな。またみんなで集まれる? そうだね」と渡辺。会心の出来栄えに、ノミネート宣言が飛び出した。授賞式はこの日のプレミア会場の隣、コダックシア ターで開催予定。“凱旋”を心待ちにしている。

 ◆ストーリー コブ(ディカプリオ)は人が一番無防備になる眠っているときに、その夢を通して潜在意識に進入し、アイデアを盗むという犯罪分野のスペ シャリスト。そんな彼のチームに巨大企業のトップ、斉藤(渡辺)から特別なミッションが下される。それは不可能に近いほど難易度の高いものだった。史上初 の革新的な犯罪は成功するのか―。