産経新聞より(以下一部抜粋)

>■「逆境でこそ本当の力発揮」

 活動休止中のロックバンド「SOPHIA」のボーカル、松岡充(みつる)(38)が、メンバーで「ろ胞性悪性リンパ腫」の治療のため休養中の都(みや こ)啓一(38)と曲を手がけ、7日公開の劇場版「仮面ライダーW」の主題歌に起用された。松岡は「アーティストは逆境に立たされたときに、本当の力を発 揮する」と力を込め、病床で作曲した盟友にエールを送った。(竹中文)

 都は3月に病気を公表。「SOPHIA」は都が治療に専念するため、東京・中野サンプラザでの4月の公演終了後にライブ活動を休止した。

 松岡は「自分たちで休止を選んだので、前向きにとらえている」と振り返る。そして、自身が悪役で出演する劇場版「仮面ライダーW FOREVER Ato(トゥー)Z/運命のガイアメモリ」の曲制作を依頼されたとき、真っ先に脳裏に浮かんだのが都だった。

 「アーティストは作品を生みだしてパワーをもらう。都にとっては作曲が“抗がん剤”のようになるんじゃないか、と思った」

 闘病中の都に作曲を提案すると、「ぜひやりたい」と喜んで応じた。その曲は「勢いがあるけれど、ただがむしゃらに走り出すという感じではない。ちゃんと 自分の傷や悲しみを抱えながら、でも進まなきゃ駄目、というような切なさを含んだメロディー」(松岡)。この曲を聴いて、作詞した松岡は安堵(あんど)し たという。「このパワーで書いたのなら、都は大丈夫だとファンにも伝えられる。うれしかった」

 松岡は高校卒業後に音楽の専門学校で都と知り合った。

 「僕がかわいいなと思って声をかけた女の子とつきあったのが都。そんなネタみたいなきっかけがあり、仲良くなった。きっかけは女の子だけど(笑)、都はそのころから才能があって、音楽のつながりができ、SOPHIAに誘いました」

 意見が対立しても互いの主張を認めあい、ライブではともに感動の涙を流した。そんな2人は、主人公2人が1人の仮面ライダーに変身して戦う「仮面ライダーW」のコンセプトとも重なる。11日にはシングル「W」と、映画のオリジナルサウンドトラックをリリースする予定だ。

 抗がん剤治療を受けた都は髪の毛が抜け、今も病と向き合う。そんな都を松岡は見守り続ける。「俺は生きていく上でのつらいことを相談していくから『お互いに闘おう』と言ってきました。闘わなければいけないのは本人。だけど、俺が支えることができるんじゃないかな」