> 大阪・堺市のホテル内の階段で、40代の男性の遺体が、スタンドが外れた自転車にまたがったままの状態で発見されていたことが13日、分かった。堺署に よると、遺体が見つかったのは今月3日。司法解剖で7月下旬ごろ死亡したと推測されたが、死因は不明。外傷がなかったため、事件性はないと判断された。現 場は、ホテル関係者用で、出入りは約2か月なかったという。なぜ男性が自転車にまたがっていたのかなど不可解な点が多く、謎が謎を呼んでいる。

 推理小説よりも奇妙な事件が、13日の金曜日に明らかになった。男性の遺体が発見されたのは3日の午前9時10分ごろ。ホテルの経営者が、屋外から地下 に続く非常階段で異臭がするため、従業員に見に行かせたところ、地下1階の踊り場で自転車にまたがったまま動かない男性が見つかり、堺署に通報した。

 遺体は、同市堺区に住む40代の男性。ホテル関係者や宿泊客ではなく、半袖のTシャツに白いズボン、スニーカー姿で数千円の所持金が入った財布とハンド タオルを身につけていた。自転車のスタンドは外れていたが、右半身は地下倉庫の扉にもたれかかり、両手をだらりと垂らした状態だった。バランスを保てる体 勢だったのか、司法解剖で7月下旬ごろに死亡したと推定された遺体は、乗車姿勢を“キープ”していた。

 自転車メーカーが多いことから「自転車の町」として知られる堺市で起きた、自転車にまつわる“事件”は謎ばかり。男性従業員は取材に対し「約2か月前に 掃除するために踊り場に行ったが、自転車も何もない状態だった」と説明。自転車は男性の所有でもホテルの所有でもないことが判明したが、最初から地下に あったのか、男性が持ち込んだのかは不明。非常階段は当時、部外者でも出入り可能な状態だったが、この従業員は「普段人の出入りはなく、なぜあそこに人が いたのか不思議だ」と話している。

 遺体には外傷や衣服の乱れはなく、死因も特定できなかった。餓死のようにやせ細っていたわけではなく、考えられるのは突然死、熱中症…。事件性がないと判断されたため、遺体はすでに遺族の元に返された。

 現場には防犯カメラは設置されておらず、新たな事実が出てくる可能性も低い。地下に下りるには必ず階段を通らなければならず、そもそも、なぜ地下に下り たのか、なぜ自転車にまたがっていたのかなど疑問だらけ。真夏のミステリーの真相は、このまま闇の中のままで終わるのだろうか。