1 損失を補って、つぐなうこと。特に、損害賠償として、財産や健康上の損失を金銭でつぐなうこと。「労働災害を―する」「公害―裁判」「―金」
というように、必ずといっていいほど「金」がからんでくる。
そこで「損失」、すなわち失われたものが「命」ならば、「補償」は「命」の値段であり、「命」は要するに「金」で換算できるものになる。人の「命」は結局「金」で購えるものなのだ。
現代の世の中では人は金がなければ暮らしていけない。命をつなぐものが「金」なのだから、一家の大黒柱である稼ぎ手を失ったならば、その稼ぎ手がもたらすはずだった金銭を補って貰わなければ遺族は生活ができなくなる。日本には生活保護やら何やらがあるけれど、それでも「収入」=「金」が途絶えれば、黙って死を待つしかなくなる人もこの世の中に存在しているのだ(職を失って、保護も受けられなくて、頼る人もいなくて、餓死した人は本当にいる。この現代にだ)。
金はそのくらい大事だけれど、しかしその金よりももっと大事なのは愛する人の命だ。
その愛する人を奪われた時の苦しみや悲しみは何が癒してくれる?
それは決して「補償」という名の金ではない。
「償い」とは
つぐなうこと。また、そのための金銭や行為。「罪の―をする」
とある。
「つぐなう」とは
1 金品を出して、負債や相手に与えた損失の補いをする。弁償する。「修理代を―・う」
2 犯した罪などに対して、金品や行為でうめ合わせをする。「わびても―・えない過ち」
ことだ。
ここでも金銭はからんでくるが、しかし「行為」という言葉も登場する。また例文に「わびても償えない過ち」とあるように、決定的な損失に対しては金品でも行為でも「償い」は容易ではないと一般的に考えられていることが伝わってくる。
そりゃあそうだろう。
一家の大黒柱や最愛の人をいきなり奪われたとしたら、その奪った相手が詫びたとしても、補償として大金をくれたとしても、それだけで許せる気になりますか?
それは無理というものだ。
その時失われた一番大きなものは、「金」ではなく、自分の心の一部なのだから。愛する対象を失い、愛される喜びをも失って、張り裂けんばかりの自分の心に必要なのは、「金」でも「詫び」でもない。
全ての申し出を拒否する程に荒れ狂っている心を静めるのは何なのか。
それを教えてくれるのが映画『星に願いを-償い-』 になるはずだ。
なるはずだ、というのはこの映画、まだ作られていないので。
映画『星に願いを-償い-』は、宮城県仙台の七夕祭りを背景に、「さだまさし」作詞・作曲の『償い』を原案とした物語を描く作品となる予定の、現在進行形のプロジェクトなのだ。
この「償い」は昭和57年のアルバム「夢の轍」の収録曲で、交通事故の加害者となった若者が、夫を亡くした夫人へ毎月賠償金を送金し、7年後、夫人から「ありがとう、あなたの優しい気持ちはよくわかりました…」との手紙が届くという実話がベースとなっている。
「何もかも忘れて働いて働いて 償いきれるはずもないが…」というフレーズが聴く者の胸を揺さぶり、命の尊さとともに、犯した罪への「償い」の心の尊さについて訴えるような楽曲であり、そこから痛いほど伝わってくる「過ちを過ちとして認めない心が、永遠に過ちを招く」のだというメッセージを後世まで伝えるためにこのプロジェクトが動き出したのである。
長崎出身のさだまさしさんの純化された思いがこの曲にはこめられている。過ちは繰り返してはいけない。繰り返さないためには、どんなに苦しくともその過ちにきちんと向かい合い、認めなくてはいけない。その強い思いが遂に映画化にまでこの物語を駆り立てたのだ(この映画プロジェクトはさだまさしさん公認です)。
現在、この映画を制作するための映画制作協力金が「映画製作協力券(5000円)を購入」という形で一般から募られています(詳しくはこちらのサイト で)。市井の人からの熱き有志を元に、社会全体で創る映画として、自分達も気軽に参加できるというスタンスが嬉しい。
ちなみにこの映画製作協力券(5000円)を購入するとちゃんと特典もあって
・映画鑑賞券2枚1組をプレゼント
・本映画のエンドロールにお名前(法人名)を記載致します。
・撮影現場見学会、完成試写会への招待(ただし抽選)
などなど(詳しくはこちらのサイト
で)。
どうせだったらエキストラとして映画にも出してくれないかしら?(←図々しい)。
でも、5000円でエンドロールに自分の名前が載るんだったら、これはお安いというか嬉しいというか。フィルムは後世まで残りますからね、これは自分の名を後世に伝える絶好の機会ですよね。でもどうせだったらエキストラとして……(しつこいので以下略)。
「償い」について真剣に考えてみたい人もそうでない人も、映画製作協力券(5000円)を購入してエンドロール二次分の名前を残したい人もそうでない人も、映画『星に願いを-償い-』 にちょっとでも興味を持たれた方はこちらのサイトを御覧下さい。
http://tsugunai.net/ (映画公式サイト)