夕刊フジより(以下一部抜粋)

>残る放送もあと1カ月になった連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(月-土曜午前8時)。平均視聴率20%超を連発する人気のワケを脚本を担当している山本むつみさんが分析した。

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 「脚本を書くに当たって貸本屋などの時代背景を調べていると“紙芝居”も出てきました。紙芝居をしていた人は、子供からもらう5円、10円のお金で生計を立てていた。続きはまた明日、と翌日も見に行きたい気持ちにさせるいい方法が紙芝居にある、と思いました」

 NHKでは時代劇「御宿かわせみ」「慶次郎縁側日記」「秘太刀 馬の骨」を手掛けてきた経験から、自信を持って書くために資料を入念に調べる習慣がリアリティーを生んでいる。

 初回(3月29日)の視聴率は14・8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)と歴代最低記録更新の“どん底”スタートだったのが、シリ上がりに伸びて、6月12日には初の20%超を記録した。

 水木しげるがモデルの漫画家、村井茂(向井理)、ヒロインの妻・布美枝(松下奈緒)の魅力を引き出す脚本の力に追うところは大きい。

 「最初から変わらなかったのは、人と人が寄り添って生きることの面白さを書く、ということ。夫、家族、子供と一緒に暮らすことの喜びを書くことを最後ま で考えました。布美枝ちゃんへの共感でしょう。今までの朝ドラは、自分では、できない-という、あこがれのヒロインが多かった」

 8月3日の夜、最終週を泣きながら書き終えた。

 「26週分を書いてみて、死生観に行き着きました。途中、水木先生が夢に出てきて“あんまりかっこよく書かんでえーぞ”と言われました。できる精いっぱいをやり尽くしました」

 ラストスパートも楽しみ。