シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

9日より、川崎市アートセンターおよび、ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘にて行われている 「KAWASAKIしんゆり映画祭 2010」のオープニング上映のゲストとして、映画『キャタピラー』の若松孝二監督、出演者の大西信満が登壇。いつもの若松節を披露した。

 「市民(みんな)がつくる映画のお祭り」として今年で16回目を迎えた「KAWASAKIしんゆり映画祭」に、公開後さまざまな反響を呼んでいる 映画『キャタピラー』の若松孝二監督が登場。若松といえば、撮影時、テストや本読みなどを行わないことで有名だが「人間は打ち合わせして人生なんて生きな いでしょ? その瞬間を撮りたいし……。特にこの映画(キャタピラー)の場合、同じ芝居は2回できないでしょ? 寺島さんに2回も同じシーンやらせたら殴 られちゃうよ。それだけすごい芝居を見せてくれたしね」と持論を展開した。


 途中、手足のない役を演じた大西に話が及び司会者から、あのシーンはCGですか? と質問されると「CGは最後の3カットのみですよ。金ないし ね。フルCGだったら800万もかかるんだよ! だから、床をほったり、無理な体勢で大西君をしばったりして、頭を使いましたよ」と裏話を披露。実際、し ばられた大西は「途中から苦になりませんでした。逆に不自由だからこそ、演技にリアリティを持たすことができたと思います」と熱いコメント。


 また、会場に訪れたファンから質問を募るという、この映画祭ならではのアットホームな時間も試みも行われ、多くのファンから作品に対する熱い質問 が寄せられる。その際、若松は「壮絶なシーンが続きますが、あれは戦争は何があってもいけないものなんだということを伝えたかったんです」と強いまなざし で述べる。「戦争から帰ってくると、人格は破壊され、もはや人間じゃなくなってしまう。それだけ、戦争はいけないことなんです」とさらにヒートアップ。場 内は静まりかえり、若松の発言に聞き入っている様子だった。


 しかし、そんな硬派なやりとりがある一方で、ある女性ファンが、大西の演技を見て「惚れました」と愛の告白!?をすると、大西は照れ笑い。会場は優しい雰囲気に包まれた。緩急が効いた暖かい映画祭に、多くの人々が満足そうな表情を浮かべていた。


 『キャタピラー』は、太平洋戦争で四肢を失って帰還した夫と、それを献身的に支える妻の姿を通じて、戦争の愚かさと悲しみを描いた反戦映画。


「KAWASAKIしんゆり映画祭 2010」は10月9日~17日まで開催。




Who killed Cock Robin?

あたしゃ「キャタピラー」見ましたけれど、それが


>太平洋戦争で四肢を失って帰還した夫と、それを献身的に支える妻の姿を通じて、戦争の愚かさと悲しみを描いた


作品だとは思いませんでしたね。

表面的には確かに上記の通りの事態が展開するわけですが、監督が観客に見て感じ取って欲しいと思ったのは、その底に流れているどろどろした感情の部分でしょう。その感情の表出がすぐれているからこそ、寺島さんは賞に輝いたわけでしょうしね。


「キャタピラー」は確かに間違いなくすさまじい反戦映画ですけれど、戦争の愚かさというより人間の愚かさと滑稽さを描いた作品だと私の目には映りました。戦争やっちゃいけないのは、普段は隠されている人間の愚かな部分が丸出しになるからなんだとね。


意外とね、このテイストに近いのはキング原作でフランク・ダラボンが監督した「ミスト」ですよ。作品としてはまるで違うものですが、人間性の深部をえぐっているという点で。「ミスト」に比べれば「キャタピラー」の方がまだ救いがありますけれど、そう考えるのは私が女だからかもしれないです。