シネマトゥデイより(以下一部抜粋)

>現地時間10月7日夜、ロンドンで開催中の第18回レインダンス映画祭で『ルナの子供』のインターナショナル・プレミアが開催された。質疑応答終了後の鈴木章浩監督に話を聞いた。

 3つの独立したストーリーで不毛の愛を描いた本作の質疑応答終了間際に、鈴木監督は唐突とも思えることを話し出した。「愛とは記憶、思い出じゃな いか」として明かしたのが、末期がんの男を演じた田中冬星氏が実際に撮影当時に役と同じ状況で、この6月に亡くなっているという事実だった。


 質疑応答を終えた鈴木監督に、その続きから聞くこととなった。エグゼクティブ・プロデューサーも務める田中氏だったが本作の企画後にがんを患って いることが判明した。「彼は映画に出るのが夢で。死ぬ前に撮ってくれということで……」と役を本人に近づけて脚本を仕上げていったという。


 本作で描きたかったのが「子供の生まれない関係」という監督は「男女の関係、愛の根本にあるのが子孫をつなげていくみたいなことで、それが男性的 な発想という気がする。でも、個人が生きていくために必要なのは、そうじゃない愛情、ふれあいもあるんじゃないか、そういう映画が作りたかった」と制作の 動機を語る。


 初の海外でのお披露目となった今回の上映を「こんなに大きなスクリーンで見たのは初めてだったんで、ちょっと感動しました。いい映画だなあなんて思ったりして」と笑顔を見せた。