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>『ロッキー』『ランボー』シリーズなどに主演した米国を代表するアクション俳優、シルベスター・スタローンが監督・脚本・主演を務めた映画『エクスペンダ ブルズ』が、16日より公開される。9月下旬に来日したスタローンと出演のドルフ・ラングレンに、同作に込めた思いを聞いた。

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 同作は自ら“エクスペンダブルズ=消耗品”と名乗る命知らずの傭兵軍団が、架空の国ヴィレーナの軍事独裁政権を倒すべく史上最大の作戦を繰り広げるアク ションエンターテインメント。それぞれ個性が違う登場人物が活躍して、弱きを助け強きを挫く。スタローンは「黒澤明監督の『七人の侍』にヒントを得た」と はっきり語った。

 スタローンは先人の発想に対し、「日本の物語がアメリカ、フランス、ロシア、どこの国でも受け入れられ、時を超えて人々の心を動かす作品を作り上げたと いうことは、本当に素晴らしいと思う」と敬意を表した。狙撃の名手だが薬物中毒に陥っているガンナー・ヤンセン役を演じるラングレンも「僕の役もそうだけ ど、ちょっとクレイジーで、完璧ではないヒーローが登場するところも、黒澤映画に通じるところだよね」と話す。

 一方で、同作に幅広い年齢層のアクションスターが集まったことは、スタローン自身もまたリスペクトされる存在であるということ。ラングレンが「スタロー ンの撮影はとても厳しくて学校みたいだった(笑)」と冗談めかして言うと、スタローンは穏やかな表情は崩さずに「私はキャストにも、自分にも厳しいです。 なぜなら、映画の仕事はそれが永遠に残ってしまうから。だから、俳優たちに『トライしろ』『べストを尽くせ』と言うんです」。

 スタローンは「人生には2つの生き方がある」という。ファイトするかギブアップするか。「俺は“諦めない”“譲歩しない”“ギブアップしない”を信条に しているんだ」。仰る通りとうなずきながらラングレンは「厳しく、みんな一生懸命やったから、最高の映画になりました」と話した。

 スタローン演じるチームのリーダーで軍用銃エキスパート、バーニー・ロスをはじめ、元SAS(英国特殊部隊)でナイフの専門家リー・クリスマス(ジェイ ソン・ステイサム)マーシャルアーツの達人イン・ヤン(ジェット・リー)、元メンバーの刺青師ツール(ミッキー・ローク)などの登場人物にさまざまな人間 ドラマを詰め込み、男たちの喜怒哀楽もしっかり描かれる。黒沢監督作品の影響を受けつつも、倒しても倒しても次々に敵が現れ、銃を撃ちまくり、危機一髪の 所で切り抜けるスピード感は、まさにハリウッド映画の真骨頂が楽しめる。

 同作は全米で興行収入2週連続1位を記録したのをはじめ、世界各国でヒット中だ。早くも続編に乗り気のスタローンは、「シナリオが出来たら、来年3月に でも撮影に入るよ! ブルース・ウィリスはちゃんと出るよ! 新しいメンバーも入れてね」とアピール。アーノルド・シュワルツェネッガー(カリフォルニア州知事)の友情出演にも「彼は“ヒーロー”だから茶化してやろ うと思ってね。今回は試しにやってみたんだけど、とても受けたから続編ではもっと彼を苦しめたい」と笑いながら話していた。