ぴあ映画生活より(以下一部抜粋)

>“ニセ予告編”から生まれた映画という、いかにもB級で悪ノリし放題に見えるロバート・ロドリゲス監督の『マチェーテ』。そのキャストの中で、意外な配役 と思えるのがジェシカ・アルバだ。アクションも披露する“スーパー・ヒロイン”を演じた彼女に、このイメチェン的な役柄について訊いた。

映画『マチェーテ』の写真

「ロバートとは『シン・シティ』で友達になって、それ以来また何か一緒に仕事をしたいねと話していたの。それでこの脚本が出来上がったとき、彼が読ませて くれたのよ。とても気に入ったわ。ただ面白いだけじゃなくて、ユーモラスな中に人種問題や移民排斥を取りあげたすごく政治的な面もあり、大胆な脚本だっ た。しかも彼はそれをエクスプロイテーション・ムービー(※)の形式にのっとってやりたいと考えていたの。それはとても面白いアイデアよ」

彼女が演じるのはメキシコとの国境で移民問題を取り締まる、移民関税執行局の職員。だがそんな堅苦しい肩書きとは裏腹にセクシーで、悪漢を蹴散らしハイ ヒールでとどめを刺す、といった痛快な闘いぶりが魅力的だ。なんでも彼女の方からこの役柄をもっと強く作り変えて欲しいと、監督に懇願したという。

「女性に対するイメージを強く作り替えたいの。女性だって闘うことはあるし、アクション・ヒーローは男の特権というわけじゃないわ。個人的にあまり弱々しい役は演じたくない。その方がわたしにとって、演じるのが難しい気がする」

イメチェンといえば、最近マイケル・ウィンターボトムの『キラー・イン・サイド・ミー』(来春公開予定)で娼婦の役を演じたばかり。官能的なだけでなく、 ケイシー・アフレック演じるサイコパスに美顔をボコボコにされるという、かなり痛々しい様子が脳裏に焼き付く。こうした勇気ある役選びについて尋ねると、 「わたしは政治家じゃないからポリティカリー・コレクトでいる必要はないし、常に安全な場にいる必要もない。わたしは原作のファンで、ウィンターボトムの ファンでもあったから、ぜひ挑戦したいと思ったの」という答えが返ってきた。

次回作では再びロドリゲスと組んで『スパイ・キッズ4』を撮影予定。コメディから挑発的な作品まで縦横無尽に駆け抜ける彼女だが、その根底には自分なりの確固とした基準がある。

「アーティストやクリエイティブな人間でいると、人々を刺激するようなプロジェクトに参加することができる。それってとてもエキサイティングなことよね。だから『マチェーテ』のような作品に出演できることは、とても誇りに思っているわ」

※エクスプロイテーション・ムービー
60年代後半から70年代にかけて流行った、特定のタイプの観客に向けて安価に作られた“搾取”(エクスプロイテーション)映画を意味するが、この手のB級でも優れた娯楽性を持つ映画というニュアンスも含まれる。

『マチェーテ』
11月6日(土) 新宿バルト9ほか全国ロードショー



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