ぴあ映画生活より(以下一部抜粋)

>巨匠ジョージ・A・ロメロ監督が1973年に製作した『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』をリメイクした映画『クレイジーズ』が、13日(土)から日本公開される。現在も根強い人気を誇り、パニック映画の傑作のひとつとして知られる作品は、どのようにして現代に甦ったのか? ブレック・アイズナー監督に話を聞いた。

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『クレイジーズ』は、細菌兵器を積んだ軍用機が川に墜落したことを機に、汚染された水を飲み凶暴化した人々と、危機を逃れて感染の拡大を食い止めようとする人々の姿をショッキングな映像で綴ったパニック映画。

本作は、ゾンビや細菌兵器などホラー映画の要素を用いて現代社会の歪みや本質を描いてきたロメロ監督作品のリメイクだが、アイズナー監督は「30年以上も前の作品だから現代とはまったく違う時代背景で、世界そのものが違っていたと思う」としながらも「作品自体は現代にも通じるテーマだし、少し予算をかけられれば現代風にアレンジして、スケールアップができると思った。自分自身もこの映画を通して伝えたいこともあった」という。「この作品を通して僕が言いたい事のひとつは、『政府の言う事をすべて信用するのはどうなんだろう?』という事。ほとんどの人は、政府が自分たちの面倒を見てくれる、自分たちのことを考えてくれるというように政府を信頼しているという点は少なからずあると思う。だけど、時には政府の判断に疑問をもって、自分自身の判断で、自分自身にとって何が一番いいのかを考えることが必要なんじゃないかな。『政府を信じるな!』ということでは決してないけど、自分自身の判断こそが重要だと思っているよ」。

また、撮影中には本作でも描かれている“ウィルスの脅威”を感じることもあったようだ。「撮影中は、豚インフルエンザが流行していた時期で、まだ特効薬も見つかっていない状態だったんだ。撮影現場に主演のティモシー・オリファントの家族が遊びに来ていて子供のひとりが、豚インフルエンザを発症してしまって、飛行機に乗せてもらえなかった。そのときは、現実として僕らが携わっている問題を直視した瞬間だった。結果的にその子は大事にはならなくて良かったけど、とても怖いことだよ」。

オリジナルの精神を受け継ぎ、現代的な映像手法とメッセージを盛り込んだ映画『クレイジーズ』は、すでに公開された各国での評価も高く、アイズナー監督のもとにはスペース・オペラの古典的傑作『フラッシュ・ゴードン』や、ジョン・カーペンター監督の傑作『ニューヨーク1997』のリメイク企画も舞い込んでいるそうだ。「もし日本映画をリメイクするなら『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』だね。僕がUSC(南カリフォルニア大学。世界最古のフィルムスクールがあることで有名)の学生の時に製作したアニメがヴェニス映画祭アニメ部門のオープニング作品の前に上映されたことがあったんだけど、そのオープニング作品というのが『GHOST…』だったんだ。観た時は衝撃を受けたよ。いつかこんな映画が作れたらと思ったし、思い入れがある作品なんだ」。

『クレイジーズ』
11月13日(土) シネマサンシャイン池袋ほか全国ロードショー



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