「SPACE BATTLESHIP ヤマト」公式サイト
というわけで初日に見て参りました、実写版「宇宙戦艦ヤマト」。実は見る前は大変心配していたんですよ、「ショボかったらどうしよ、チャチかったらどうしよ、見るに堪えなかったらどうしよ」って、いたく。
それというのも予告編を見た限りの印象が限りなく上記のセリフに近かったもので……やっぱりハリウッドに対抗するには予算がアレすぎたのではないかと、大きな声では申せませんが特撮部分がちょっとアレじゃないかと、そういう心配ばかりが先煮立っていたのですね(アレ=低)。
で、まあ、最初始まったあたりは宇宙での艦隊戦は旧「スター・トレック」で、地球の地下住居の様子は「マトリックス・リローデッド」だな、等とSF映画ファンとしてのチェックを怠らず見ていたわけですよ。登場人物のセリフが全体的にアニメ原作を意識しすぎでマンガっぽいな、とかなんとか。
ところが木村拓哉演じる古代進がセリフを言った途端、そういったことはどうでもよくなりましたね!
彼、キムタクのセリフには世界を自分に引き寄せる不思議な力があるんです。それは彼が「ハウル」を演じる声を聞いた時に分かっていたことだったんですが、あの時はソフィーが主役だからハウルとしては彼女をひきたてるために力を使っていたのでしょう。
でも「ヤマト」では彼が堂々の主役。物語の中心です。
だから彼が実のあるセリフを一言言った瞬間、世界は彼を中心に収斂し彼の行動のみを見せるために動き始める。
アニメ原作でいわば現実とはかけ離れた絵空事の世界が、キムタクの古代進を得た瞬間生命をはらみ、彼がそこにいるというだけで物語は現実味を帯びるのです。これはリアリティーの問題ではなく、この木村拓哉という人物が主役を務めるならそういう世界もアリだろうと観客に思わせてしまう、そういう圧倒的な存在感、力量の話なのです。カリスマ性というのはこういうのを指して言うんだと思いましたね。
キムタクはどこにいても世界の中心だから、彼が喋るセリフに一切の作為は感じられません。演技というのも馬鹿馬鹿しい程キムタクはキムタクのまま古代進になりきっているのです。彼が古代進だから、彼の周囲にいる人物は「ヤマト」の登場人人物として成立する。キムタクが自然体だから、他のセリフや事象がどんなに現実離れしていても、それは「本当は自然体のセリフで現実的なはずだ」と観客は認識する。ほとんどそういう世界です、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」。
まるで神がかりか何かのように書いてますが、木村拓哉という人の才能は一種独特で傑出しているものがありますね。美しい容姿は今も健在で、髭を剃って凛々しくしている彼をアップで見ると劇中の他の全ての男性は言わずもがな、下手すると全ての女性もかなわないのではないかと思えてしまう程です。公式サイトのトップページではスターシアの代わりに古代進がヤマトを守っているように見えますが、彼の美しさはそれにふさわしい。完璧な男性でありながらまさに女神的な美しさを備えている人ですから。男性の戦士として戦いに赴きつつ、女神として守りも固めるみたいなイメージ、それが「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 におけるキムタクなんですね。
そのキムタクの懐に飛び込んでしっかり相手役を務めた黒木メイサの演技力も光っていました。脚本、結構アニメを意識してるのか、現実としては喋りにくそうなセリフがたくさんあるのに、主役二人は本当に自然にやりとりしてましたからね。
ストーリーはアニメで繰り返し見たものと基本は同じですが、細部に変更を加えて今風に仕上げてあります。まるっきりの焼き直しとは違うので、かつてさんざんヤマトを見た人でもそれなりに新鮮さを感じられるように作られているのでしょう。
特撮は、まあ、アレにしてはがんばってたのではないかと。
でもそんな些細な事よりも見るべきものはキムタク。
この人なら本当に日本を救ってくれるんじゃないかという気がしましたよ、あたしゃ。
キムタクパワーが世界に通用するかどうか、今から海外公開が楽しみです。