> 特撮テレビ番組「電磁戦隊メガレンジャー」「重甲ビーファイター」などで戦隊ヒーローを演じ、ドラマ出演も多い俳優の金井しげる氏(42)が、来年4月 の江戸川区議選に、民主党公認で出馬することが12日、分かった。掲げるのは子供の命を守ることと、地域の環境美化。民主党に大逆風が吹くなかの厳しい戦 いとなるが「お茶の間のヒーローから、江戸川区のヒーローになる」と決意。街頭演説デビューも果たした。

 口調はたどたどしかったが、ヒーローの思いは伝わった。寒空のJR小岩駅前でマイクを握った金井氏は「すみません、初めてで緊張して…」と、言葉をとぎ らせながらも「児童虐待や子供の自殺が起きている。子供の命を守ることに、力を注いでいきたい」と、約4分間演説。「台詞を覚えて演じるのと、演説は全く 別ですね」という金井氏に、周囲から「頑張れ!」の声援が起きた。

 生まれも育ちも江戸川区だ。子供時代に仮面ライダーにあこがれ「あの世界でヒーローを演じたい」と俳優を志した。明学大を中退、長身と甘いルックスで、92年に日本テレビの「ミスター日本コンテスト」で準グランプリに輝いた。

 「重甲ビーファイター」(95年)ではクワガタをモチーフにしたグリーンの「ジースタッグ」、「電磁戦隊メガレンジャー」(97年)では高校生戦士たちの兄貴分的存在で「メガシルバー」を好演。夢をかなえ、ちびっ子とママの人気者になった。

 そんな中、趣味で始めた江戸川の巨大魚「アオウオ」の釣りを通じて民主党・笹本ひさし都議(49)と出会ったのが、転機になった。「最初は全然興味がな かった」政治だが、1年ほど前から笹本氏の秘書として活動を手伝ううち、たばこのポイ捨てなど街のマナー低下が目についた。夢を与えていたはずの子供の痛 ましいニュースも続いた。「何とかしたい気持ちがわき出てきました」

 現在は、俳優業では必要なかったスーツを新調し、支援者への挨拶回りや、朝のビラ配りの日々。「チャンスがあれば」俳優もこなすが、軸足はあくまで政治活動だ。「ビーファイター」の「ブルービート」を演じた土屋大輔さん(37)も応援に駆けつける予定という。

 金井氏のあこがれだった「仮面ライダー」シリーズの「ストロンガー」に主演した荒木しげる氏(61)も、民主党公認で目黒区議選に立候補を予定。同党へ の逆風はすさまじいが、「民主党の金井というより、江戸川の金井として活動したい。お茶の間のヒーローから、江戸川区のヒーローになりたいです」。最後は メガシルバーの変身ポーズ「ケイタイザー、インストール!」でキメた。

 ◆金井 しげる(かない・しげる)1968年10月18日、東京・江戸川区生まれ。42歳。安田学園高から明学大文学部英文科へ。中退後の92年、日本 テレビ開局40周年の「ミスター日本コンテスト」で準グランプリに輝く。「ビーファイター」「メガレンジャー」に加え、96年には映画「嗚呼!!花の応援 団」で主演。劇場版「相棒」にも出演し、テレビドラマは「暴れん坊将軍」や「黒革の手帖」で活躍した。プライベートでは2年前に離婚を経験。家族は父と 母。183センチ、80キロ。