シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

> いまや話題作には欠かせない存在となった香川照之が、映画『あしたのジョー』の丹下段平役に懸けた思いをつづった著書「慢性拳闘症」が、2月3日に発売されることがわかった。自身の「拳闘」に対する“異常な性癖と症候群”を“病”と表現する香川。その著書からは、丹下段平役に挑んだ香川はもちろん、矢吹丈を演じた山下智久、力石徹を演じた伊勢谷友介、そしてスタッフたちの熱い撮影の日々が伝わってくる。

 腹巻きを巻き、ニッカボッカと地下足袋を履き、ネルシャツを着て、竹のステッキをつかむ……映画『あしたのジョー』で、香川は見事に丹下段平になりきった。自身も、著書の中で「渾身の化身が怨念に満ちた写し絵のごとく目の前に現れてしまった。間違いなく皆がそう思っているのが手に取るように分かるではないか。ああ! 私は確信する。最初の紛争テストで、もはや丹下段平がほぼ出来上がっている!」と自画自賛している。「慢性拳闘症」というタイトルの通り、「私はまだ病気でした。病人でした。すみません」と自身のボクシングに対する情熱を“病気”と記しているのも印象的だ。


 先日行われた映画『あしたのジョー』の完成報告会見では、“慢性拳闘症”であることが功を奏し、撮影中は山下や伊勢谷に対してボクシング指導をしたことも明かされた香川。同著の中で、山下について、「ガチャン。ドアが開く。いやはや。そこにいきなり、『JOE』の衣装を着けた山下智久が現れたではないか。初めて会う珠玉。磨かれざるダイヤ。これが、これが矢吹丈が。この男が矢吹丈になる男か」と初めて矢吹丈姿の山下を見たときの衝撃を吐露。伊勢谷については、「さて伊勢谷はどこまで体重を落とすのだろう。ここにも伝説が生まれる予感がある。俺もとことん段平になる。お前も力石になれ。リング上で倒れろ。倒れて良いじゃないか。いい病院紹介するよ」と原作ファンだからこその激励の思いだったことを明かしている。


 これまでも映画『鬼が来た!』『ゆれる』などの撮影秘話を「中国魅録-『鬼が来た!』撮影日記」「日本魅録」といった著書にまとめている香川。そのタッチは絶妙で、映画『あしたのジョー』を撮り終えた達成感も、「そうして、二時間のフィルムの中だけに我々は焼き付けられて、私たちは消えた。全ては真っ白に戻った。真っ白に。燃え尽きた。燃え尽きちまったよ。おっつぁん」と表現。「慢性拳闘症」は、映画のサイドストーリーとして楽しめる一作になっている。


香川照之著「慢性拳闘症」(税込み: 1,470円)は2月3日講談社より発売



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