> 映画専門誌「映画秘宝」が2010年の劇場上映作品のワースト10を紹介する「HIHOはくさいアワード」を発表した。昨年までの「秘宝トホホ大賞」が今年から「HIHOはくさいアワード」と名前を一新してパワーアップしている。
パワーアップは毒舌だけでなく、選考への参加人数。映画秘宝編集部によると昨年は90人だったが今年はさらに増えて112人が参加。各自がワースト3映画を選出し、その統計からベスト10が決まる。映画業界のライターだけでなく、江頭2:50や、みうらじゅんまで、映画を愛する総勢112人がビシバシと、映画を愛しているからこそつい言わずにはいられない愛の鉄槌をくだしている。映画雑誌も数あれど「ワースト」選びにこれだけの参加者が集まる企画は他に類を見ない。秘法のブランド力か、ワーストな映画が増えたのか。
そんな中、2011年の「HIHOはくさいアワード」1位に輝いてしまった映画は、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』。ご存じ国民的アニメの金字塔として、1974年の放送当時から長年にわたって愛されてきたテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」を実写映画化した作品。「『ギャラクティカ』『スタートレック』からいただきすぎ」(岸川靖)、「ワープ中にメシ食ったり、セックスしたりとやりたい放題……これは新春かくし芸大会のコントか?」(Bazil)、と脱力系の感想から「『アトム』『ジャイアント・ロボ』的な自爆するヒーローの系譜もういい加減断ち切ってほしい」(長野辰次)などちょっと考えさせられてしまうものまで毒舌コメント多数。中にはワーストの1位~3位までを全部『SPACE BATTLESHIP ヤマト』にした人も。
そして2位には何と日本国内だけで100億円超えを記録し、2010年映画の興行収入1位に輝いたジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』がランクイン。「ディズニー製作の足かせからももっと自由になって反モラルな毒気を盛り込んでほしかった」(加藤義彦)、「期待値との落差」(STUDIO28)、などディズニー・ブランドが裏目に出てしまったことと期待値の高さからのがっかり度が反映されているようだ。
また、4位にランクインした『パラノーマル・アクティビティ』には「まったく怖くないから」(江頭 2:50)という率直な意見も。ちなみにエガちゃんは「同じホームビデオ映像だったら巡視船と中国漁船の衝突ビデオの方がよっぽど怖かったぜ!!」とごもっともな意見も寄せている。また7位にランクインしている水嶋ヒロ主演『BECK』には「ライブシーンには本当にベックリしました」(長野辰次)をはじめ音楽映画だけに期待していたライブシーンに裏切られた人たちの悲痛なさけびが。5位の『エアベンダー』には「もうこの人はだめなのか?」(ピッチー・ミンミン)というようにシャマラン監督に批判が集中していた。
ランク外では12位の『借りぐらしのアリエッティ』に「ジブリ作品の中でランクをつけたら一番低い」(ばるぼら)という「HIHOはくさいアワード」ランキングの趣旨とちょっとハズれるものから、『ゴースト もういちど抱きしめたい』に「パーフェクトなサムサム映画でした」(みうらじゅん)までさまざまな観点から書かれたコメントは、なんとなく共感できてしまうコメントも多い。匿名で好き放題言っているのではなく、実名のところに真剣さを感じる。また「HIHOはくさいアワード」掲載号の映画秘宝には「映画秘宝が選ぶ2010年映画ベスト30」もちゃんとあるのでご安心を。ちなみにこちらの1位には美少女クロエ・グレース・モレッツに人気が集まっている『キック・アス』が輝いている。
「映画秘宝3月号」は洋泉社より税込1,050円で発売中
なんつーか、日本の正しいオタク道をきわめてますよね、この雑誌。
実名で何発言してもこわくない立場にいるって、それ昔からオタクの特権ですからね。
加えてロリコン傾向強し。
きっとここでティム・バートン版の「アリス」の評価が低いのは、主演のミア・ワシコウスカちゃんが対象年齢よりちょいとばかり年上で子どもっぽさに欠けたせいね。