夕刊フジより(以下一部抜粋)

★独自の批評で支持集める「映画芸術」

 年度末が近づき、映画界も賞やランキングの発表が相次いでいる。そんな中、独自の批評スタイルで熱心な映画ファンに支持を集める季刊の専門誌「映画芸 術」が、恒例の日本映画ベストテン&ワーストテンを発表。意外なことに、松たか子(33)主演の「告白」(中島哲也監督)がワーストワンに選ばれた。

 「告白」は松が、娘を殺した教え子に復しゅうする中学教師をクールに演じたサスペンスで、興行面では大ヒット。現在、国内の映画賞を次々と獲得し、米ア カデミー賞外国語映画賞では最終ノミネート5作品の前段階の9作品の中に選ばれている。国内外で注目を浴びているのに、なぜ?

 編集部を直撃すると、「33人・グループの選者がワーストとベスト、それぞれに得点を付けて選出したところ、『告白』は“ワースト点”が73点でした」と明かした。

 ワースト2位「キャタピラー」(若松孝二監督)の34点に大差をつけての悪い評価だった。

 「一方で、『告白』の“ベスト点”は29点。この項目に限ると上位20位以内には入っています」と編集部員。つまり、批評家によって賛否が大きく分かれる作品だったといえる。

 「告白」が悪い評価につながった理由のひとつを同誌発行人で脚本家、荒井晴彦氏は、「“ストーリーに奉仕するせりふ”は映画的ではない、と言われてき た」と説明した。「告白」では、松が演じる中学教師が、意図的に感情を押し殺して、説明的な長ゼリフを語る。この映画の持ち味でもあるのだが、「映画の演 技ではない」と感じた観衆がいたのも事実で、そこが斬新でもあったのだ。

 ベストワンに選ばれた「ヘヴンズ ストーリー」は、ピンク映画出身の瀬々敬久監督による上映時間4時間38分の超大作社会派映画。こちらはベスト点が158点、ワースト点はわずか5点と、圧倒的にベスト評価が高かった。

 配点の詳細や選評は、30日発売の同誌434号に掲載される。

 「特に選評を読んでほしい。どうしてそういう点数になったのかが分かります」(編集部)

 華やかな映画賞の評価が正しいとは限らない。映画を楽しむ幅が広がるかも



「告白」は映画としてどうとか言う以前に、原作者の抱える恨みつらみ呪詛についてけなかったです、私。どうせ映画館で見るなら楽しいものがいいですよ。楽しくなくても何か考えさせられたり、演技に舌を巻いたりする部分があればそれもいいですけれど(たとえば「キャラクター」)、「告白」にはそれもない。それに美しいはずの松たか子さんが心のねじ曲がった役を演じたせいでちっとも美しく感じられなかったもんね。