>現地時間1月25日早朝に、第83回アカデミー賞のノミネート作品が発表された。『英国王のスピーチ』(2月26日公開)が12部門、『トゥルー・グリット』(3月18日公開)が10部門、『ソーシャル・ネットワーク』(公開中)が8部門のノミネートというのは、高齢者が多く、保守的と言われているアカデミー会員の選択眼が浮き彫りにされた結果で、世間にとっては今回ほどサプライズが多い年もないようだ。その中でも、エンターテインメント・ウィークリー誌など多数のメディアが報じている5大サプライズをまとめてみた。
一番のサプライズは何と言っても『インセプション』(10)のクリストファー・ノーラン監督が監督賞から漏れ、代わりにコーエン兄弟が西部劇のリメイク版『トゥルー・グリット』でノミネートされたことだ。
当時、5作品だった作品賞の枠が10作品に広がったことで作品賞にはノミネートされたが、頭脳明晰なノーラン監督のセンスは、会員には理解不能だったのだろうか? 一方で、コーエン兄弟が会員のごひいきであるという意味でいえば当然の結果ともいえるわけで、『ダークナイト』(08)でも憂き目を見たノーラン監督は、ヒット作を出してもなかなか監督賞を受賞できなかったかつてのスティーブン・スピルバーグ監督と同じような存在になりつつあるようだ。
これについて、『ダークナイト』と本作でノーラン監督作の音楽を担当し、今回もアカデミー賞にノミネートされているアカデミー常連ハンス・ジマーは、「ノーラン監督は脚本も手がけているので、作品賞、脚本賞も彼を称えたものだが、優れた監督なしにこの作品は完成し得なかった」と遺憾の意を表明している。
二番目のサプライズは、各賞で助演男優賞にノミネートされていた『ソーシャル・ネットワーク』のアンドリュー・ガーフィールドが落選し、『Winter's Bone』のジョン・ホークスがノミネートされたこと。会員にはフェイスブックの存在と大学という舞台設定はあまり魅力がないうえに、アンドリューは会員が好まないアメコミ映画で、次期スパイダーマンを演じることもあだになったのかもしれない。
他には、作品賞にベン・アフレック監督作『ザ・タウン』(2月5日公開)ではなく『Winter's Bone』(日本公開未定)がノミネートされたこと、ドキュメンタリー長編賞『Waiting for“Superman”』が漏れたこと、そしてハビエル・バルデムが『Biutiful ビューティフル』(夏公開予定)という外国語映画(スペイン語)で主演男優賞にノミネートされたことが、今回の5大サプライズとなった。