> いわゆるツッコミ。場の空気を読みながら、テンポ良く、的確な言葉を繰り出す。「ジャニーズ事務所の先輩は、ツッコミの人間を見つけるとボケたがる人が多いんですよ。だから自然とこうなったような気がします」と笑う。
年長者、後輩、共演した役者やタレントと交友関係も幅広い。「ほぼ聞き役で、すっごく肯定します。みんなのガス抜きになれば、単純にうれしい。僕? 鬱積しないですね。普段、ツッコんで発散しているから」
彼の強さは、繊細で優しい心から生まれている。
主演映画「GANTZ」で初共演の松山ケンイチの芝居に、自分の性質と近いものを感じていた。「似た性質を並べる(製作者の)心意気に興味を覚えたし、 彼のポテンシャルの高さを見たかった」。原作を愛読しており、オファーが届いた当初は複雑な気持ちだった。「俺だったらこう演じるのにと、ちゃちゃを入れ ながら見たかった。でも、初共演の楽しみが勝っちゃいました」と振り返る。
黒い謎の球体に呼び寄せられ、異星人との戦いを強いられる役柄。SFだが、人間ドラマを描く。「異星人にも生活があり、主人公が勝てばいいというものではないと思っている。善悪とは何か。最大の矛盾も投げかけ続けたつもりです」
映画は2部構成。公開中のパートIでは、演じた役柄は戦いを経て、心境が変化していく。「得るものもあれば、失うものもある。その過程はすごく丁寧に演じました。男はね、結果より経過が大事だと思う生き物なんです」と話した。
国民的アイドルグループの一員。活動は多岐にわたるが、演技力にも定評がある。役柄にリアリティーを求め、設定を守りつつ、自らせりふを変えることも。映画「硫黄島からの手紙」のクリント・イーストウッド監督の演出がきっかけだった。
「彼は当時の言葉なら何を言ってもいいと」。いまはどの監督にも自由にやらせてもらっている。「懐の深い方ばかりで幸せです」
ただ、「自分の言葉」には責任が生じる。的確な選択、間合いも大事だ。そこでアイドルの経験値が生きる。「せりふのないバラエティー番組に出ている人生 の方が長いですから」。見る人が求める反応を常に考えているうちに、アドリブが怖くなくなった。「先輩との会話でも鍛えられた。周囲に、そういった部分を 育ててもらいました」
近年、俳優が脚本や監督もこなす作品が多い。「現在、その欲はないが柔軟に考えてはいたい」。もしもいま撮るのなら、高齢者が主人公の温かい作品に興味があるという。
役者としては? 「確固たる理由があって『しゃべらない』役をやりたい。どこまでお客さんを作品の世界に連れていけるか挑戦してみたい」
言葉に敏感な人がそれを封印するという“オチ”をつけるとは。ただ者ではない。
文・橋本奈美
【プロフィル】二宮和也
にのみや・かずなり 昭和58年、東京都生まれ。13歳でジャニーズ事務所入り。舞台やテレビドラマなどで活躍。平成11年、アイドルグループの嵐で CDデビュー。作詞作曲にも挑戦し、バラエティー番組、映画、テレビドラマ、CMと活動は多岐にわたる。演技力に定評があり、多くの賞を獲得。平成18 年、オーディションで役を得て「硫黄島からの手紙」に出演し、海外からも高い評価を得た。主な出演映画は、15年「青の炎」、22年「大奥」。
映画「GANTZ」は、TOHOシネマズ梅田ほかで公開中。「GANTZ PARTII」は4月23日から公開。
年長者、後輩、共演した役者やタレントと交友関係も幅広い。「ほぼ聞き役で、すっごく肯定します。みんなのガス抜きになれば、単純にうれしい。僕? 鬱積しないですね。普段、ツッコんで発散しているから」
彼の強さは、繊細で優しい心から生まれている。
主演映画「GANTZ」で初共演の松山ケンイチの芝居に、自分の性質と近いものを感じていた。「似た性質を並べる(製作者の)心意気に興味を覚えたし、 彼のポテンシャルの高さを見たかった」。原作を愛読しており、オファーが届いた当初は複雑な気持ちだった。「俺だったらこう演じるのにと、ちゃちゃを入れ ながら見たかった。でも、初共演の楽しみが勝っちゃいました」と振り返る。
黒い謎の球体に呼び寄せられ、異星人との戦いを強いられる役柄。SFだが、人間ドラマを描く。「異星人にも生活があり、主人公が勝てばいいというものではないと思っている。善悪とは何か。最大の矛盾も投げかけ続けたつもりです」
映画は2部構成。公開中のパートIでは、演じた役柄は戦いを経て、心境が変化していく。「得るものもあれば、失うものもある。その過程はすごく丁寧に演じました。男はね、結果より経過が大事だと思う生き物なんです」と話した。
国民的アイドルグループの一員。活動は多岐にわたるが、演技力にも定評がある。役柄にリアリティーを求め、設定を守りつつ、自らせりふを変えることも。映画「硫黄島からの手紙」のクリント・イーストウッド監督の演出がきっかけだった。
「彼は当時の言葉なら何を言ってもいいと」。いまはどの監督にも自由にやらせてもらっている。「懐の深い方ばかりで幸せです」
ただ、「自分の言葉」には責任が生じる。的確な選択、間合いも大事だ。そこでアイドルの経験値が生きる。「せりふのないバラエティー番組に出ている人生 の方が長いですから」。見る人が求める反応を常に考えているうちに、アドリブが怖くなくなった。「先輩との会話でも鍛えられた。周囲に、そういった部分を 育ててもらいました」
近年、俳優が脚本や監督もこなす作品が多い。「現在、その欲はないが柔軟に考えてはいたい」。もしもいま撮るのなら、高齢者が主人公の温かい作品に興味があるという。
役者としては? 「確固たる理由があって『しゃべらない』役をやりたい。どこまでお客さんを作品の世界に連れていけるか挑戦してみたい」
言葉に敏感な人がそれを封印するという“オチ”をつけるとは。ただ者ではない。
文・橋本奈美
【プロフィル】二宮和也
にのみや・かずなり 昭和58年、東京都生まれ。13歳でジャニーズ事務所入り。舞台やテレビドラマなどで活躍。平成11年、アイドルグループの嵐で CDデビュー。作詞作曲にも挑戦し、バラエティー番組、映画、テレビドラマ、CMと活動は多岐にわたる。演技力に定評があり、多くの賞を獲得。平成18 年、オーディションで役を得て「硫黄島からの手紙」に出演し、海外からも高い評価を得た。主な出演映画は、15年「青の炎」、22年「大奥」。
映画「GANTZ」は、TOHOシネマズ梅田ほかで公開中。「GANTZ PARTII」は4月23日から公開。