> 歌手・桑田佳祐が19日、地元茅ヶ崎市の市民文化会館で行なわれたニューアルバム先行試聴会に登場、4曲を歌って地元ファンを熱狂させた。『桑田佳祐茅ヶ崎大復活祭』と銘打って大掛かりな準備を行なってきた地元商工会議所などのバックアップに応え、完全復活をアピールした桑田とは裏腹に、会場となった市民文化会館は財政難によって耐震改修工事が延期になるなど大きく揺れている。

 1978年にサザンオールスターズのメンバーとして『勝手にシンドバッド』でデビューした桑田が、デビュー後初の凱旋公演を行なったのが1981年、当時オープン2年目だったこの茅ヶ崎市民文化会館だった。今回のイベント出演によって、それ以来30年ぶりに「再会」を果たしたことになる。

 だが、この30年で人気を不動のものとして日本の歌謡界に君臨しつづけ、病気も克服して復活を果たした桑田とは対照的に、同会館は老朽化が進む中で市の財政難により改修計画がままならない厳しい現実があるのだ。市では08年に同館の大規模改修計画を発表、改修工事を始める予定だった今年4月以降の同館利用受付を中止していた。しかし、昨年末になって工事計画は一部を残して14年以降への延期を発表し、4月以降の利用受付が再開されたのである。

 一方、と「倒壊、崩壊の危険性が高い」と診断された市庁舎については最優先で改修計画が出され、70億円前後を投じた新庁舎建設が予定されている。これについては「新庁舎建設は不要」「耐震強化工事で十分」といった反対意見も出ており、今後の動向が注目される。

 加山雄三とともに地元が輩出したヒーローとしてあがめられている桑田。数々の著名文化人を輩出してきた茅ヶ崎が、文化事業施設の改修に二の足を踏まざるを得ない状況になっている。