イ・ビョンホンVS.チェ・ミンシク『悪魔を見た』、過激バイオレンスなシーンは日本、韓国ではカット!米では公開!
シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)>韓国にとどまらず映画『G.I.ジョー』などで世界的にも活躍する俳優イ・ビョンホンと、映画『オールド・ボーイ』などで韓国を代表する演技派として知られるチェ・ミンシクがタッグを組んだ新作『悪魔を見た / I Saw the Devil』についてキム・ジウン監督が語った。
イ・ビョンホン、チェ・ミンシク 出演映画『悪魔を見た』場面写真
同作は、大切な婚約者を残忍な連続殺人犯ギョンチョル(チェ・ミンシク)に惨殺された国家情報院捜査官スヒョン(イ・ビョンホン)が、復讐の鬼と化して極秘捜査でギョンチョルを追いつめた、婚約者と同じ苦しみをギョンチョルに強要させていく。善悪を超越した人間の執念と悪魔のような男の対決が、息もつかせずに展開されていく。
これまでメガホンを取ったすべての作品の脚本を執筆してきたキム監督が、今回初めて脚本を執筆していないが、この脚本のどんなところに惹かれたのだろうか。「まず、脚本は非常に生々しく力強い内容で、読んだときはかなり衝撃的なパンチを食らったような感じだったんだ。少し内容の荒い箇所もあったが、フィルム・ノワール(虚無感、悲観的、退廃的な指向性を持つ犯罪映画)やスリラーとして描けば、うまく製作できると思ったのが始まりだった」と述べた。さらに彼は最初に渡された脚本とエンディングが変わっていることも明かした。
興味深いのはイ・ビョンホン演じるスヒョンが、罪悪感を全く感じない連続殺人犯ギョンチョル(チェ・ミンシク)という悪魔に対峙(たいじ)するために、自ら悪魔に魂を委ねていくところだ。「実はこのコンセプトは、フリードリヒ・ニーチェの『善悪の彼岸』の一説から取り上げたもので、正確な言葉は忘れてしまったが、“ハンターは、自分自身がモンスターにならないように気をつけなければならない”というような内容だった。この映画で観客は、初めはスヒョンが復讐を遂げることを願うが、その復讐の仕方に一歩引き下がってしまうような感覚を受ける。だが、スヒョン自らが悪魔に魂を売らなければ、戦うことができないことに気付き始めていくんだ。そこが、この映画の中心になると思ったんだよ」とニーチェのコンセプトを利用したという驚きの発想を語った。
次に連続殺人犯ギョンチョル(チェ・ミンシク)の職業が、昼間学校の生徒を乗せたバス・ドライバーという設定が面白い。「これは、この映画のために韓国の連続殺人犯のリサーチをしていたさいに、ある事件の犯人がバスのドライバーだった事件があって、おそらく彼の夜の行動と対比させるのには興味深い職業だと思ったんだ。それと、ギョンチョルが運転する車は黄色で、その黄色は韓国では小学校に行く前の幼稚園などでユニフォームの色として使われていたりして、どこか平和でイノセントなイメージを与えるんだ。そこが皮肉で、さらにその生徒たちを安全に移動させる人間が夜にとっている行動が対照的で面白いとも思ったんだ。ちなみに、ここでは学校というよりはむしろ塾のような設定で、普通の学校と比べて特別にギョンチョルの経歴をしっかりとチェックをしていない設定でもあるんだよ」と説明した。
チェ・ミンシクとイ・ビョンホンのキャスティングについて「チェ・ミンシクは、韓国では炎のようにエネルギッシュな存在で、そこがこの役には適役だと思ったんだ。一方イ・ビョンホンは、これまで何度か仕事をしていて、彼はよくロマンティックで、ハンサムなキャラクターとして映画に出演しているケースが多いため、そこで今回は彼の冷血な部分を見せて、チェ・ミンシクと対峙(たいじ)させたら面白いと思ったんだ」と語るように、イ・ビョンホンはこれまでの役のイメージを一新するような演技を披露している。
最後にキム・ジウン監督は、韓国や日本などの国では映画内にあるアキレス腱を切り落とすようなバイオレンスなシーンは、事前にカットして公開しなければいけなかったそうで、それはまるで「寿司を食べるのに、適度なわさびを抜きにして食べた気がしたよ……」と答えていた。ちなみに米国などでは、全くカットされずに公開することになっている。