夕刊フジより(以下一部抜粋)

> 冒頭、人気のない雪道で立ち往生した若い女性の車の窓がコンコンと叩かれる瞬間から、全身が総毛立つ。何か起こるぞ、という不穏な空気の演出が秀逸なのが、韓国発異色サイコ映画「悪魔を見た」だ。

 案の定、若きエリート国家情報院捜査官が婚約者の女性は、無残にもなぶり殺されて発見される。かくして、婚約者の壮絶な復讐劇の幕が切って落とされる。

 休暇届を出し、単独で捜査を開始、犯人を追い詰めていく婚約者スヒョンを演じるのは、韓流スーパースター、イ・ビョンホン。対して、悪魔のような連続殺 人鬼ギョンチョルに扮するのは、『オールド・ボーイ』などで世界に名を馳せる名優、チェ・ミンシク。一見してギラついた殺人鬼ではなく、むしろ人がよく、 ドン臭くも見えるだけに、瞳にチラりと走る狂気、血も涙もない殺人者への豹変が怖すぎる!

 独自の情報網を駆使してギョンチョルを追い詰め、「同じ地獄を味わえ」と痛めつけては解放する、残虐行為に手を染めるスヒョン。彼の行く着く先は一体?!

 追い詰められるほどに、良心のカケラもない怪物の正体を現し、動物的な本能の冴えと野獣性を見せるギョンチョル役のミンシクの演技力は疑うべくもない が、人気先行型に見えるビョンホンの磁力も負けていない。にらみ付けた瞳からポロポロ涙を流すそのたぎるような怒りと哀しみに、見る者の胸はバクバク!

 終わり方がまた、いい意味で胸をかきむしりたくなるイヤらしさ。極めて残虐かつ猟奇的な殺害方法にもかかわらず、カメラワークや省略を駆使した演出によって、想像力は働かされるが不快感はさほど残らないのは、ビョンホンファンの女性客を考えてのことか。

 東京・丸の内ルーブル、大阪・梅田ブルク7などで公開中。


Who killed Cock Robin?