「水戸納豆」として知られ、全国一の生産量を誇る茨城県の納豆メーカーは全社が東日本大震災で操業を停止していたが、大手や老舗の多くが震災から2週間 となる25日、出荷を再開した。首都圏のスーパーで続いた納豆の品薄状態は改善に向かうが、資材不足や計画停電の影響が懸念され、全面回復にはなお時間が かかりそうだ。


 水戸市の老舗メーカー・だるま食品は25日、販売を再開した。11日の地震では大豆を煮るボイラーが壊れた。機械の調整を続けながらの再稼働。生産量は 1日2万食程度で地震前の7割にとどまるが、高野正巳社長は「日曜返上で生産します。今月中にフル生産したい」と意気込む。


 「おかめ納豆」で知られ、全国シェアの3割以上を占める業界最大手タカノフーズ(茨城県小美玉市)でも25日、水戸工場の生産が本格化した。だが宮城県加美町の工場はなお操業停止が続き、東日本向けの製造量は従来の半分も復活していない。


 震災により、茨城県内の全28社が操業停止に追い込まれ、全国納豆協同組合連合会によると、南関東では需要の4割程度しか供給できない状況となった。東京都内のあるスーパーでは震災以降、納豆の入荷量は半減。店に並べても午前中に売り切れる状況が続いていた。


 操業が再開した今後も、懸念は残る。納豆パックの包装フィルムは、製造会社が被災し、供給のめどが立たない。計画停電も悩みの種だ。納豆は発酵のため 40度を20時間保つ必要があり、電気は不可欠。茨城県は被災地のため計画停電の地域から外されているが、高野さんは「いつ停電の対象になるかわからな い」と気が気でない。