トーマス・デッカー、自分の責任で子どもを失った男を演じる 共演者にケイト・ウォルシュ-トライベッカ映画祭

シネマトゥデイより(以下一部抜粋)

>トライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2011)で、新作『エンジェルズ・クレスト(原題) / Angels Crest』について、トーマス・デッカー、ジェレミー・ピヴェン、ケイト・ウォルシュ、監督のギャビー・デラルが語った。

 同作は、ロッキー山脈のふもとの町で暮らすイーサン(トーマス・デッカー)が、ある冬の日に3歳の息子を連れて車で旅行に出かけた際に、寝ていた子ども を車の中に置いて林の中で散歩をしてまい、その間に車から外に出てしまった息子を見つけられず凍死させてしまう。無責任な親として地元の人々に批判を受け ながら、彼は果たして立ち直ることができるのだろうか? この映画でジェレミー・ピヴェンは、父親イーサンを調べる検察官役、ケイト・ウォルシュはイーサ ンの友人で、女性とともに暮らすレズビアン役、ギャビー・デラル監督は、ピーター・ミュランの主演映画『オン・ア・クリア・デイ(原題) /On a Clear Day』(日本未公開)でメガホンを取っている。

 トーマス・デッカーは、子どもを失った父親役イーサンを演じる上で、どんなリサーチをしたのだろうか。「僕はこの役を演じる上で、子どもを失うことより も、子どもと過ごしている時間のほうをむしろ重要視したんだ。そのため、撮影2週間前に子ども役を演じたアメコという名の子役と動物園やミュージアムなど に行って共に過ごしたんだよ。アメコは、実際にシングルマザーに育てられている子どもで、僕を父親みたいな存在として受け入れてくれ、すぐに親しくなるこ とができたんだ」とまずは、子役との関係を育んだそうだ。だが、子どもを失ったときの感情については「僕は、自分の問題や人生を生かしながら演じることが 嫌いだが、子どもを失ったときの悲しみは、ちょうどこの映画の撮影中に亡くなった僕の父親への思いを、少しだけ感情移入させて演じていたかもしれない。も ちろん、できるだけ気持ちを切り替えて演じていたつもりだけれどね……」と個人的に辛い時期だったことを明かした。だが、そんなトーマスは、テレビドラマ 「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」などで最も注目されているハリウッドの若手の一人だ。

 映画内では子どもを失ったイーサンは、アメリカでの児童虐待と軽視を報告するよう命じている法規をもとに検察に追われることになるが、このように子ども を失った状況下で、検察は子どもを失った親を訴えるべきなのだろうか。ギャビー監督は「この映画内の状況下では、個人的に(検察は)そうするべきではない と思うわ。イーサンは、十分なくらい苦痛を味わっていると思うし、それは検察の判断で決めることでもない気がするの。ただこの映画は、単に子どもを失った 親を描いているだけでなく、普段の我々の暮らしの中で、人からとがめられることもなく、我々が行ってしまっている悪いことにも触れているの。実際にわたし もロサンゼルスに住んでいて、車の中に子どもを置いたまま、簡単な買い物を済ませたことがあるし、携帯でメールを送るのに夢中になって、子どもをしっかり 監視していなかったときもあるわ」と語ってくれた通り、うっかり軽視したことで事件が起きるか起きないかで、その親への人々の判断は違ってくるのも事実 だ。

 ケイト・ウォルシュは、エリザベス・マクガヴァンとのレズビアンのカップル役を演じてみて「実は、ほとんどは脚本に書かれていた内容を演じたもので、前 もってエリザベスと、このレズビアンの関係について話し合ったわけではないの。ただ、わたしの役のほうが少し男勝りであるため、歩き方や車の運転の仕方な どに気をつけたわ。映画内では、エリザベスの役とイーサンの行動について意見が対立する所が一つの見所でもあるの」と述べたケイトは、これまでの彼女のイ メージを払拭させるような役にこの映画で挑戦している。

 最後にジェレミー・ピヴェンは、映画内で対立することとなるイーサン役のトーマスと、意図的にセットでは口をきかないようにしたらしい。ちなみにジェレ ミーが出演する人気テレビドラマ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」が、今シーズンで最後になるとも語ってくれた。映画は、家族を自分の責任で失っ た男と、その周りの彼に対する対応が興味深く描かれている作品に仕上がっている。


Who killed Cock Robin?


日本だと車の中に置き去りにしての熱中症による死亡事故にあたるでしょうか。自分のせいで大事な子どもを死なせた挙げ句、誰にも同情されず世間から非難の矢面に立たされる親……彼らが何を思うかはその人によっても違うのでしょうが、生き地獄であるのは間違いないでしょう。その後、どうやって生きていくのだろうと思っていましたが、その一つの解答がこの映画であるようです。

まだまだ、映画には描かれていないテーマがたくさんあるのですね。