シネマトゥデイより(以下一部抜粋)

> 昨今公開された続編映画の成績が全体的に活気のない中で、映画『ワイルド・スピード』シリーズ5作目にあたる映画『ワイルド・スピード MEGA MAX』が予想を上回る大ヒットを記録し、2011年のデビュー週末収益において最高額にあたる8,620万ドル(約73億2,700万円)をたたき出して、今週の全米ナンバーワン映画となった。(1ドル85円計算)

今週第1位の映画『ワイルド・スピード MEGA MAX』場面写真

 当初、シリーズ第5作目が製作されると報じられたとき、「またか……」という反応が目立っていたものの、いざ業界試写がスタートした途端にロサンゼルス・タイムズ紙をはじめ、複数の著名評論家たちがこぞって作品の出来にかなり好意的な批評を発表した。この勢いに乗り、週末3,644館にて公開された同作品はウイークエンド・チャートをばく進するという結果になった。

 これに加え『ワイルド・スピード MEGA MAX』は、前作の映画『ワイルド・スピード MAX』が保持していた4月のデビュー週末収益を塗り替え歴代第1位に収まることになった。第5作目にしてこのような規模のヒットというのは映画業界では非常にまれで、「シリーズ3作目以降は下り坂になる」という定説をことごとく覆す快挙となっている。

 配給ユニバーサル・ピクチャーズの観客調査によると、週末に『ワイルド・スピード MEGA MAX』を観に来ていた観客の56パーセントが男性、そして52パーセントは25歳以下(前作と比べ年齢層はやや上)、35パーセントが白人客で(前作では28パーセント)、33パーセントがラテン系の観客(前作46パーセント)であったという結果が出ている。

 今週第2位は、トップに7,000万ドル(約59億5,000万円)以上も差をつけられてしまった先週の第1位、映画『ブルー/初めての空へ』で1,479万ドル(約12億5,715万円)。先週から43.8パーセントの収益減となってしまったものの、公開17日間の総合興収は1億400万ドル(約88億4,000万円)となっている。

 第3位につけたのは、残念ながら60.7パーセントも落下してしまった映画『タイラー・ペリーズ・マディアズ・ビッグ・ハッピー・ファミリー(原題)Tyler Perry’s Madea’s Big Happy Family』で986万ドル(約8億3,810万円)の成績。公開後10日目にしての総合興収は4,090万ドル(約34億7,650万円)と、いつもの『タイラー・ペリー』シリーズに比べて少々元気がない。

 代わって第4位は、こちらも先週からワンランクダウンの映画『ウォーター・フォー・エレファンツ(原題)/Water for Elephants』で934万ドル(約7億9,390万円)の収益。好意的な批評家の採点も、映画ファンの興味には直結しなかったようだ。

 今週トップ5の最後はティーン映画『プロム(原題)/Prom』で471万ドル(約4億35万円)。2,730館という悪くない上映館数で封切られたにもかかわらず初登場第5位という残念な結果となった。ちなみに66パーセントの観客が18歳以下、そして82パーセントが女性客という観客調査の結果が発表されている。

 さて、次回のチャート予想だが上位入りほぼ確実なのが夏の大作シーズン先陣を切る映画『マイティ・ソー』である。マーベル・コミックの人気コミックを映画化したこの作品は、監督に俳優としても有名なケネス・ブラナーを迎え、ハリウッド中の期待を担っている大作である。

 しかしこの超大作の前には今週出現した意外な強豪『ワイルド・スピードMEGA MAX』が立ちはだかっており、『マイティ・ソー』に約束されたかに見えたトップへの道は混沌としてきている。業界紙などによれば、悠々と構えていた『マイティ・ソー』の配給スタジオであるパラマウント・ピクチャーズは『ワイルド・スピードMEGA MAX』の度肝を抜く好成績を見て、ひそかに冷や汗を流しているとうわさされており、次回のランキング争いはかなり白熱するものと見られている。

 トップ5入りするかどうか微妙だが、興味深い作品が1本控えている。DV事件からとんと音さたのなかったメル・ギブソン久々の新作で、ジョディ・フォスターが監督・出演を兼ねている映画である。人生に迷い、完ぺきにふさぎ込んでしまった男(メル)が、ひょんなことからビーバーの指人形を使って周囲と対話を持つようになり、やがて再び外界との接点を見つけていくという一風変わったドラメディー(ドラマ色の濃いコメディー)で、メル演じる夫を支える妻をジョディが務める。

 昨今のゴシップはさておき、メルはアカデミー賞監督賞を受賞したことのある演技派俳優。ジョディにおいてはご存じのようにオスカー受賞女優であるし、この2人が共演というのはかなりオイシイ。だが、肝心のPR作戦が地味でストーリーも決して派手なものではないため、まず人の目に触れるかどうかというのが第一関門。いずれにせよランキングを騒がすかもしれない要注意映画ではある。


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