1970年前後、サブカルチャーが誕生した時代…普遍的な若者の焦燥感とは?『マイ・バック・ページ』山下敦弘監督、川上洋平&WATARU.Sが熱く語る

シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

 16日、映画『マイ・バック・ページ』のトークショーが、渋谷WWWで行われ、山下敦弘監督、人気アーティストの川上洋平([Champagne])とWATARU.S(SISTER JET)が登壇。同作の舞台となった1970年前後、サブカルチャーが誕生したといわれる時代をテーマに、あくなき思いを語り合った。

映画『マイ・バック・ページ』写真ギャラリー

 1969年から1972年、いわゆる全共闘運動が激しかった時代を背景に、若者たちの青春を描いた本作。くしくも3人ともこの時代にはまだ生まれていなかったものの、1976年生まれの山下監督は「子どものころ、少し70年代のにおいや記憶もあって、(劇中の)新聞社のタバコのけむたい感じとか心地よかったです」と撮影を振り返った。

 ロックバンド・SISTER JETでボーカルを担当しているWATARU.Sは28歳ながら、音楽性は60年代・70年代のものから影響を受けたという。「シンプルなことで熱くなれるし、夢をバシッと見られるし、すてきだなと思いました」と本作で描かれている時代を絶賛。ロックバンド[Champagne]の川上も、WATARU.Sと同じ 28歳。イギリスのロックグループ、レッド・ツェッペリンが好きだと明かした川上は、「90年代の音楽が特に好きで、それと比べると過去のものとして思えてガツンとは来なかったです。でも、ライブ版がすごく素晴らしくて、これを生で体験した人はうらやましい」と当時への思いを語った。

 また、トークイベントの最後には山下監督が映画を撮り始めたきっかけについても告白。作中で松山ケンイチが演じた革命家と自身を重ね合わせながら、「周りが音楽とか映画をやっているのを見ながら、とにかく何かになりたい、何者かになりたかった」と感じたあのころの焦燥感が、今の自分につながっていると打ち明けた。本作については「難しい言葉を使っているけど、若者の普遍的な感覚で(妻夫木聡と松山ケンイチの)2人を追っていけば何かしら感じられる映画になっています」と語り、若い世代に見てほしいというメッセージを送っていた。

 映画『マイ・バック・ページ』は、川本三郎がジャーナリスト時代の経験を記したノンフィクションを、映画『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督が映像化。全共闘運動が激しかった1969年から1972年を背景に、理想に燃えるジャーナリスト・沢田(妻夫木聡)と革命を目指す活動家・梅山(松山ケンイチ)が奇妙なきずなで結ばれていくさまを描いた社会派エンターテインメントだ。

映画『マイ・バック・ページ』は5月28日より全国公開