「Xメン」でケヴィンの演じたショウの役はそのまんま「キック・アス」のダミーコにあたる。骨の髄まで悪い奴。昨今これだけ分かりやすく混じりっけなしの悪役って珍しい。それは例えば「ロード・オブ・ザ・リング」のサウロンみたいなもので、現実の人間に与える性格としては最近流行ってないのよね。

そういう「現実的じゃない」という壁を簡単にクリアできるのは、やはり「Xメン」がアメコミ原作だからでしょう。最初にそういう枠組みを与えられているからできることで、しかも時代が半世紀程前。その設定を作品に最大限生かすことができたのがヴォーン監督の力量なんだと思う。

これまでの「Xメン」映画のマグニートーでさえ、「敵」ではあったけれどそこまで純粋な「悪」としては描かれていなかった。むしろ彼の側にも一理あると観客は思わされてしまう。何しろガンダルフのイアン・マッケランが演じてるんだから説得力が並じゃない。敵であっても憎めない悪役。それが彼。

で、そんなマグニートーに彼、エリックが如何にしてなったのか、というのを克明に語ってくれたのが「ファーストジェネレーション」でした。彼とプロフェッサーXとの間に存在する美しい友情がどのように培われたのかも痛いほど伝わってきます。邦画と違って野暮なセリフで全部語ったりせずにね。


Who killed Cock Robin?