「キック・アス」もそうなんだけど、ヴォーン監督は痛い程の思慕をさりげなく挟み込むのがものすごく上手い。それは子を思う親の愛情であったり、亡き母を慕う子の悲しみであったり、初めて手にした友情を大切にしたいという願いであったり、どれも素朴だが人間本来の素直な心の現れなのである。

「キック・アス」で不覚にも涙が出たセリフがあって、それは「パパは弾の火薬を減らしておいたから」というもの。ネタバレになるので説明しないけれど、古今東西、これだけ親の子を思う気持ちがさりげなく吐露された映画はなかったと思う。この手のセリフって、ともすれば恩着せがましくなるものだから

先のセリフは父親の純粋な愛情から出たもの。ちなみにその父親、ビッグ・ダディを演じたのはニコラス・ケイジだったけど、「キック・アス」での彼の銃撃シーンはジョン・ウーの「フェイス・オフ」の時に匹敵するぐらい美しかった。ヴォーン監督はとにかく動きを美しく見せるのが上手です。

そのビッグ・ダディの性格をそのまま踏襲してるのがエリック・レーンシャー、後のマグニートー。ダディは実の娘をヒットガールに育て上げるわけだけど、「Xメン」ではミュータントを見つけて訓練を施し共に
戦おうとするわけで、言ってみれば「キック・アス」と基本のプロットは同じなのです。


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