「Xメン」にも「キック・アス」にも目の前で母が死ぬのを見た少年が出てくる。誰かに殺されるのも急な病で倒れるのも、愛する者を死によって不意に奪われ る事には変わりはない。その理不尽な思いはどうすればいいのか。あきらめて受け入れるのと復讐として誰かにぶつけられるのとどっちが楽なのだろう

愛する者を奪われた怒りは誰かにぶつける事で発散できるかもしれない。でも悲しみはそれでは癒えない。愛する者を奪われて心にぽっかりあいた穴は、再び誰 かを愛する事でしか埋められないのではないのか。自分が愛する事によって誰かに愛して貰う。その関係でしか心の穴は埋められないのかもしれない。

それは家族を奪われた者が再び家族を取り戻して(人員は違うけれど)自らを再生していく物語である。「キック・アス」も「Xメン ファーストジェネレーション」も作品の深い奥底でそれを語っているのである。