話を「127時間」に戻して、ジェームズ・フランコがあまりに名演なので、これは映画だ作り物だと分かっていても正視を避けたくなるシーン多数あり。私「ブラックスワン」見た時、これ以上「痛そう」な映画は他にないと思ったけど、あったわ。「127時間」は「痛そう」通り越して「痛かった」わ。

普段「CSI」とか「ER」や「Dr.ハウス」とかさんざっぱら見てるんだから、人体の内部描写なんか見慣れているはずなのに、何が違うんでしょ? 「CSI」は基本死体で、例え生前の描写があったとしても現時点では死んでる人なわけで、「ER」や「ハウス」は麻酔下や治療中の人の描写だから?

如何に真に迫った人体の描写があったとしても、映画館で見てるんだからそれはフィクションだと頭では分かっているはずなのよ。でもでも、ジェームズ・フランコの痛そうな表情とか苦悶とか悲鳴とか、それ通り越してぼーっとしてる様子とか見てると真に迫って来ちゃって……本物見てる気になるのだわ。

ジェームズ・フランコ、あの集中力で演技をするのが性に合っているなら、アカデミーの司会なんかつまらなかったに違いないと改めて思いましたよ。そりゃー気が抜けて見えても仕方がないわ。なんにしてもチャレンジャーではありますね。

「127時間」の演技で自分の100%を経験したとしたなら、普段の生活は20%ぐらい、アカデミーの司会で50%ぐらいなんだろうな。「スパイダーマン」では意外と80%以上だしてるんじゃないかしら。結構複雑な役だから。「パイナップル・エクスプレス/スモーキング・ハイ」では……90%?


痛みって、記憶ができない。「痛かった」事は覚えているけれど、「痛み」そのものを再現する事は想像上ではできない。夢や催眠術の中では痛覚の刺激を感じ るけれど、自分で頭の中でそれをやろうとしてもできないものです。「痛み」を感じるためには実際に自分を傷つける必要がある。

その、普通想像では再現できない痛みを、あたかも実際にその場で感じているように見せるというのは至難の業で、それもちょっと切ったとかのレベルじゃない わけだから、どれだけの演技力が必要かと。「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンもそうだったけど、アカデミー賞ノミネートは当然です。

映画の中でジェームズ・フランコの演じたラルストンがたくさん夢を見るのだけど、その夢がどれも切ない。夢の中でさえ右手が動かないままで、どんなに自由 になりたいと願っても今のままでは無理だということを夢を見ている心の底で悟っているから。ラルストンは本当にそんな夢を見たんだろうな……。


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