映画.comより(以下一部抜粋)

>園子温監督の最新作「ヒミズ」が、第68回ベネチア国際映画祭(8月31日~9月10日)のコンペティション部門に正式出品されることが決まった。これま でにも世界中の映画祭で上映されてきた園監督作。近年は「愛のむきだし」でベルリン、「冷たい熱帯魚」でベネチア、「恋の罪」でカンヌと世界3大映画祭を 席巻してきたが、コンペ部門での出品は今回が初めてのことになる。

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 今年のベネチアのコンペ部門に選出された日本映画は、「ヒミズ」のみ。園監督は、「ベネチア国際映画祭コンペティション部門に選ばれて光栄に思います。 撮影の前に、大震災、原発事故が起きて、それまで書いていたシナリオを書きかえなくてはならなくなりました。どうしても今、この現実を映画の中に取り入れ て撮っておかなくてはいけないと思いました」と述懐。それだけに、「たった今、目の前で起きている本当の世界に即して映画を撮るというのは、非常に生々し く大変なことでありました」とコメントを寄せた。

 同作は、「行け!稲中卓球部」の古谷実が、ギャグを封印して若者の暗部をえぐるダークなストーリーに挑んだ人気漫画の実写映画化。園監督が原作ものを手 がけるのは、今回が初めてとなる。普通の大人になることを願う住田祐一と、愛する人と守り守られ生きることを夢見る茶沢景子が主人公。15歳のふたりの日 常は、住田が起こしたある事件をきっかけに一変する。

 主演の染谷将太、二階堂ふみも喜びのコメントを発表。染谷は「現場では見えない魔物と戦っていて、常に興奮していました。その興奮がこの喜びの興奮につ ながったことに感動しています」。二階堂も、「とても大変な撮影でしたが、茶沢としてこの作品に参加することができて、とても幸せでした。監督、共演者、 スタッフ皆さんの魂が詰まった作品です」と述懐した。

 なお、園監督は今回の決定を受け、公式上映に参加しレッドカーペットに立つ予定だ。ベネチア映画祭では、黒澤明監督、稲垣浩監督、北野武監督が金獅子賞を戴冠するなど、日本作品との縁が深い。世界が認める鬼才が、満を持してベネチアのコンペに挑む。

 「ヒミズ」は、2012年春に全国で順次公開。