トム・ヒドルストンが、例えばアラン・リックマンとかジョン・マルコヴィッチとかゲイリー・オールドマンとか、うんと頑張ってジェレミー・アイアンズとか、まあそちらの系統の名優になる可能性を秘めた人だとすると、クリス・ヘムズワースはヒーローの王道を歩むタイプと言えるだろう。
映画だと例えばデンゼル・ワシントンやシドニー・ポワチエが演じたタイプの、真っ当で正義感の強い主人公。TVシリーズならそれこそ「スタートレック」でウィリアム・シャトナーが演じたカークである。新しい「スタートレック」でクリスが演じてたのはそのカークのパパだったわけだけれども。
「屈託のない笑い」を剛胆にも繊細にも見せられる、それがクリス・ヘムズワース。何重にも屈折してトラウマを幾つも抱え込んで……って役でこそ演技力が試されると思いがちだけれど、この現代に生まれて育ちながら「何にもトラウマありません♪」てな顔するのだって、相当な演技力が必要だと思います。
映画だと例えばデンゼル・ワシントンやシドニー・ポワチエが演じたタイプの、真っ当で正義感の強い主人公。TVシリーズならそれこそ「スタートレック」でウィリアム・シャトナーが演じたカークである。新しい「スタートレック」でクリスが演じてたのはそのカークのパパだったわけだけれども。
演技が器用というより存在感そのもので勝負するタイプ。「マイティ・ソー」を見ていてクリスが抜擢されたのはやはり「スター・トレック」で演じたカークのパパ役が白眉だったからなのだとよくわかった。見てくれではなく、内側から輝く精神性の高さを買われたんですね。
「スタートレック」では掴みで終わってしまったそのシーンが、「マイティ・ソー」では堂々のクライマックスである。これぞ王道というものだ。これを微塵の外連味もなく照れもせず、ごく当然のこととしてサラリと演じきることができるのがクリス・ヘムズワースの凄さなのである。
「スタートレック」の冒頭で、カークは乗員の避難を真っ先に優先し、彼らの安全を確保するために自分の身を投げ出して脅威に立ち向かう。勝つ術がないことを知りながら、恐れずひるまず勇敢に。そして最後の最後まで自分の生を投げ出さず、愛する者の行く末を慮るのだ。
「スタートレック」では掴みで終わってしまったそのシーンが、「マイティ・ソー」では堂々のクライマックスである。これぞ王道というものだ。これを微塵の外連味もなく照れもせず、ごく当然のこととしてサラリと演じきることができるのがクリス・ヘムズワースの凄さなのである。
「屈託のない笑い」を剛胆にも繊細にも見せられる、それがクリス・ヘムズワース。何重にも屈折してトラウマを幾つも抱え込んで……って役でこそ演技力が試されると思いがちだけれど、この現代に生まれて育ちながら「何にもトラウマありません♪」てな顔するのだって、相当な演技力が必要だと思います。