> ■23歳下の共同監督の夢に一役

 「ミッション:インポッシブル2」(2000年)の大ヒットなどハリウッドに進出したアジア人監督として輝かしい実績を持つ中国出身のジョン・ウー監督(65)が、スー・チャオピン(42)と共同監督した武侠映画「レイン・オブ・アサシン」(27日公開)のPRで来日した。巨匠は「私の実際の役割は監修。スー監督の脚本に感動し、ぜひ彼の夢を作品化する手伝いをしたいと思った」と台湾の俊英を持ち上げた。

 最近も「レッドクリフ」2部作で成功を収めたウー監督が今回手がけたのは、明(みん)の時代の中国を舞台にした娯楽大作。スー監督の脚本について「誰しも過去と決別し、違う生き方をする機会があるというスー監督の考えが、昔の人の物語にうまく盛り込まれている。今の人が見ると登場人物が周囲にいる気がしてくるから、きっと映画に引き込まれる」と太鼓判を押す。

 暗殺組織「黒石」が、800年前に武術の奥義を極めた達磨大師の遺体を狙っている。ミイラ化した遺体を手に入れた者は、中国武術界の覇権を握るとされていたからだ。ところが、黒石最強の女刺客、細雨(シーユー)(ケリー・リン)が組織を裏切り、達磨の遺体とともに姿を消す。やがて細雨は新たな顔を得て曽静(ザンジン)(ミシェル・ヨー)と名乗り、配達人の阿生(アシャン)(チョン・ウソン)と結ばれるが…。

 ヒロインの操る剣が、生き物のようにしなりをみせるさまは見ものだ。ホラー映画「シルク」(06年)で注目を浴びたスー監督にとって初のアクション作品のため、ウー監督が振り付けやアクションシーンの撮影を指導したが、「スー監督の新鮮なアイデアをどう映像化できるか手助けしたに過ぎない。この映画は彼の魂そのものですから」。

 今回は娘のアンジェルス・ウーが細雨への刺客役として女優デビューした。「娘がワイヤでつり上げられるのが心配で、アクション監督に『絶対に大丈夫だろうな』と重圧をかけてしまった。でも見事に撮れたし、娘もちゃんと準備ができていたね」と親心ものぞかせた。