「ムカデ人間」、私にとっては「ツリー・オブ・ライフ」よりよ~~~~~っぽどおもしろい作品でした。ツレはゲンナリしてたけど。なんだよ~、あんなのカワイイもんじゃんかよ~~~。

「ムカデ人間」も「ツリー・オブ・ライフ」も監督が何を訴えたかったのかさっぱりわからん! という点で同じなんだけど、だったら私はおのれの欲望に忠実 なハイター博士の出てくる「ムカデ人間」の方をとるわね。少なくとも自分のなすべき事に対して疑問も葛藤もない分、見ててすがすがしいわ。

しかし「ムカデ人間」で主役を演じたディーター・ラーザーって名優だわ。冒頭、彼の顔がスクリーンに出ただけで立派な「つかみ」になってるのには舌を巻い たわ。いわばドイツのクリストファー・ウォーケン? 同じドイツ出身のクリストフ・ヴァルツより怪演ぶりじゃあ一枚上じゃね? 

むろんムカデ人間になった3人も名優揃いでございます。ラスト近くの北村昭博さんの熱演はクローネンバーグの「M バタフライ」のラストにおけるジェレミー・アイアンズの演技を彷彿とさせたわね。

あ、そっか。私はクローネンバーグを見慣れてるから「ムカデ人間」見てもなんてことないのね。まあ、「ムカデ人間」見て感じたのはひたすら「人体の重さ」 でしかなかったけど。あれ見るとバラバラ殺人と言われる死体の切断が何故行われるかよくわかるわ。分割しなけりゃ重すぎる。